漫画感想記31冊目
西暦2292年。人口増加の絶望的状況打破のため、人類は宇宙へと進出した。幸運にも地球型惑星オムニを発見した地球政府は、大規模な移民計画を実行し、苦難の果てに惑星開発はようやく軌道に乗った。だが問題は移民開始から77年目に発生する。2369年に超高速航行技術の可能性が発表されると、3年後に政府は移民計画を大幅に変更。オムニを地球政府の管理下におくため、使節団と100万人の軍隊を送り込んだのである。しかし2532年に到着したこの地球からの使者をオムニの移民たちは拒否。2535年、オムニ独立戦争は勃発する。開戦当初は地球軍の圧倒的な物量作戦の前に屈していたオムニ軍は、惑星開発用のパワーローダーを改造し、ゲリラ戦を展開。そして開戦4年目の2539年。専用設計のパワーローダーによる特殊部隊「DoLLS」を編成。DoLLSに編成された女性隊員たちは、果敢に戦いを挑むのだった……。【p171設定資料集より引用】
登場人物
ミリセント・エヴァンス
DoLLSの斥候(ポイントマン)、ミリセント・エヴァンス。愛称はミルク。階級は少尉。両親は一緒に疎開することを望むも、自らの意思で海軍士官学校に入学。集中力や観察力に欠けるが、水泳で鍛えられた高い身体能力と五感に優れ、特に聴力は極めて鋭い。潜水艦隊はミルクの聴力を高く評価するため欲したが、海軍士官学校を卒業をすると女性ばかりの合同特殊部隊、DoLLSに志願して入隊を果たす。地球連邦からの独立を勝ち取るために戦う道を選びはしたが、オムニ独立宣言時の地球政府軍のデモ隊による発砲事件を映像を通して見たことで、自身が同様の人殺しとなることに畏怖する。
フェイス
ミルクの相棒、フェイス。武器の扱いに精通し、姉御肌で頼れる性格の持ち主。気性の荒さ故に落ち着きに欠けるのが欠点。
ハーディ・ニューランド
DoLLSの司令、ハーディ・ニューランド。階級は大佐。仲間の命を救うためであれば上官に銃を突きつける剛毅な性格。軍内での権力は強くなく、そのために命令で部下を危険な目に合わせてしまう。また、現場に行きたい気持ちを無理やり抑えこんでいるため強いストレスを感じている。情報部のスパイを救出する作戦で細菌兵器の存在を知ったことで細菌兵器を巡る一連の事件にDoLLS共々巻き込まれる。
ナカミチ・スミトモ
日系人傭兵、ナカミチ・スミトモ。パワーローダー製造会社、レイランド・ダグラス社に雇われたプロの傭兵。右目は無く、左目は死んだ魚のような目をしている。2536年ペルー動乱、2539年惑星ニンバス反乱事件、アメリカ暴動事件に参加した経歴を持つ。ペルー動乱事件では鎮圧部隊として繰り出され、無謀な命令により仲間たちが次々と死んでいく様を目撃したことで命の重さを感じなくなってしまう。傭兵として高い技量を見せ、銃器だけでなくパワーローダーの扱いにも長ける。
ロボット要素
x-4
DoLLSで運用するパワーローダー、x-4。武装は手持ちのライフルや肩部に連装式のミサイルを積む。電撃戦を得意としており、輸送機や巡航ミサイルにより作戦区域に運搬、展開運用をする。
地球軍のパワーローダー
地球軍のパワーローダー。正式名称は不明。DoLLSが運用するx-4に及ばないが、生身の人間では抵抗することも敵わない性能を持つ。
黒色のx-4
黒色のx-4。地球側の人物に雇われたナカミチのためにオムニ側より密輸されたパワーローダー。DoLLSでも多数運用されている機体であり、カラーリングが異なるだけのもよう。
作画
時代を感じる絵柄ですが綺麗で受け取りやすいです。登場人物は多いながらも書き分けがされているので判別も付きやすいです。
メカの作画は形状は綺麗に捉えられているのですが、書き込み控えめなのと動きが殆ど描かれていません。そのため少し迫力に欠け、メカ同士の戦いでは固い印象を受けます。
ありがたいことに巻末に設定画が載っています。本編の中で見えなかった部分もちゃんと確認できます。
雑感
本作はPCゲームを元にしており、PCゲームとはいえR-18の類ではなく、全年齢を対象としながら長く展開されていたシリーズとなっています。普段は原作に触れていないことばかりですが、今回はゲームをプレイしたことがあるので多少の知識を持っています。ゲームの方はストーリーはあるものの、登場人物にセリフはなく、状況と展開の大きな部分だけが描かれた話を進めていくシミュレーションゲームです。
登場人物はゲームとほぼ同じながら本作には台詞が用意され、各キャラの個性がわかりやすくなっています。しかし、世界観の説明は少なく、元のゲームをやっていないと作品全体の雰囲気は理解しづらく、ゲームをやっていたとしてもキャラの関係性の描写には物足りなさがあります。そのため、自分がゲームをプレイしたのも結構前で大雑把にしか憶えていないこともあってか少しとっつきにくさを感じました。
また、物語の抑揚も控えめでオチの部分でも盛り上がりが弱めなので読み終わった後に軽さが残ります。立ち位置的にはシリーズファン向けだと思われますが、ゲームに触れたことがない人向けにも感じます。多くの作品が発売されているシリーズのため漫画から気軽に触れるのはありかもしれません。
作品データ
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