ロボットポンコッツ グレイテスト編

漫画感想記21冊目

生活の様々な場面で活躍する「心」を持った機械「ロボットポンコッツ」。そんなロボポンを派遣する会社・スポロロボテック社の社長になった十四歳の”ユースケ”が、社員で相棒の”ロボまる”や仲間達と共に、会社の借金一億円返済のため、賞金も名声も手に入る称号「グレイテスト1」獲得をめざす!【上巻裏表紙より引用】

登場人物

ユースケ


祖父が技術者職に専念するため、若干14歳にしてスポロロボテック社の社長業を引き継ぐことになった少年、ユースケ。即興で社訓を作るなどお調子者の面を見せるが、大事な社員であるロボポンのためとあらば身も心も懸ける熱い心を持つ。社長業と共に1億円の借金を引き継いでしまい、借金返済のため、グレイテストと呼ばれるロボポン育成の強者たちとの戦いに身を投じる事になる。

ロル


ロボポン専門家のヘッド博士の娘、ロル。ユースケに好意を寄せており行動をともにするのだが、女性型のロボポンとユースケが仲良くしているだけでヤキモチを焼いたりと、嫉妬する場面が多く見られる。見た目に反して(通り?)パンチの破壊力は作中屈指。

ビスコ


大金持ちの息子、ビスコ。ユースケへのライバル心が強く、バトロボと呼ばれるロボポン同士の勝負で負けたロボポンを情け容赦なく捨てるなど、性格の悪さも目立つ。祖父が1億円の借金をした相手というのはビスコの父親で、そのこともあってかユースケには上から目線の発言を行う。

ロボット要素

ロボまる


社長就任の祝いで渡された最初のロボポンにして唯一の社員、ロボまる。各部のパーツ交換が容易に行えるアーム型に分類されるロボポン。ソフトと呼ばれるカートリッジを肩パーツに組み込むことで、ファイアのソフト1つでファイアナックル、ファイアのソフトを両肩に組み込めばナパームナックルを使える。パーツ交換が容易な半面防御力に乏しいアーム型であるが、心の成長で進化し硬度を増す特殊金属、根性(ガッツ)メタルで全身を構成しているため防御力も高い。しかし、各関節部は予算の都合で根性メタルが使えず、既成品で代用された影響から脆くなっている。

コジロウ


サムライ型のロボポン、コジロウ。行き倒れていたところをビスコに拾われたことでロボまると戦うことになる。ロボまるとの勝負に負け、中古のガラクタ、オンボロなどビスコから罵声を浴びせられて捨てられる。その後、ユースケにスカウトされたことでスポロロボテック社の社員となる。得物は背中に背負った刀、童子切安綱。火事場の馬鹿力とも表現されるオーバードライブモードを使いこなす。

ナース


テール城城下町のロボポン病院に勤務する女性型ロボポン、ナース。ヘッド博士が開発したロボポンで、ロルと強いつながりを持ち、ロルの想い人であるユースケを特別視している。そのためかユースケに対しては辛辣な発言(冷静かつ的確なツッコミ)が目立つなど毒舌家の面を併せ持つ。武器は注射器型のマシンガンやバズーカなどで遠距離戦を主とするが、注射器の針を刺突武器としても使える模様。また、ナース型のロボポンであるため、ロボポンの修理、支援も得意とする。

ノロイダー


ビスコの右腕的存在のロボポン、ノロイダー。多くのロボポンがビスコと袂を分かつ中、(見た目に反し)忠義を尽くす。主人のライバルがユースケであるように、ロボまるを自身のライバルと定める。直接戦闘に優れたロボポンであるが、呪いと呼ばれる相手の能力を落とす特殊な技も使いこなす。パーツ交換ができない代わりに防御力に優れたブート型という種類のロボポン。

作画


キャラの作画については一癖どころではなく癖の塊としか表現する言葉がありません。タモリはタルさんと言えば一般的には胸のサイズが注目される作家さんですが、顔の描き方も非常に癖が強いです。身体は全身がデフォルメされ描かれているので胸のサイズはそんなものだと思えば思えるものなのですが、顔の方は意識の変化だけでは受け入れづらかったです。下睫毛だと思われるパーツがあまりに長すぎるため、髭やほうれい線と錯覚してしまうカットが多々というか常なので、顔の方が慣れるまで時間がかかります。


また、女の子の顔がじゃがいも的にごろごろしているカットが魅せカットで多いのもちょっと残念です。普段はゴロゴロしていないのですけど、大事なカットだけ敢えてゴロゴロしているので作者のこだわりなんだと思いますけど、可愛くはないかな(怒られるかも?)。


逆に男性キャラ(主にユースケ)はオーソドックスで、シンプルにカッコいいです。規格外の胸をした女性がどれだけ横に並ぼうと主人公はシュッとしていて様になっています。そしてそのことがあまり違和感のないものになっていることに気付いた時はもう絵に慣れているのだと思いました。


ロボの作画は間逆な印象。シンプルにオーソドックスに上手く、安定感抜群でとっつきにくさはほぼ感じません。また、ロボの個性付けであったりシナリオへの組み込み方も良く出来ており、ロボ成分にかなり恵まれた作品です。

雑感

連載されていた雑誌がボンボンということもあって子供向け感はあるものの、低年齢層向けゆえの読みやすさはありつつ、読み応えの部分もしっかりとした作品です。今回読んだ版は全2巻ながら元のコミックスでは4巻分に相当する分量だっただけに、コミカライズ作品によくあるような急ぎ足な展開でなく、一つひとつの出来事が丁寧に描かれています。

理解しやすい物語であると同時に伏線の配置と回収も丁寧だったことも好印象です。物語序盤から出てくるキャラにも終盤まで見せ場があり、無駄なく各キャラに厚みが出ています。登場人物こそ少ない作品ですが、その分一人ひとりキャラが立っていると言えます。

キャラデザのインパクトが話題になる作品だと思いますし、自分の読み始めの印象でも似たようなものがあります。かなり特殊なキャラデザなので簡単に慣れろと言うことは難しくもありますが、決して慣れることが不可能なわけではありません。通常の単行本で全4巻分ということでスロースターターな入りの物語であり、一癖も二癖もある絵柄ということでさわりを読む程度では魅力が伝わりにくいと思いますが、最後まで読めば必然的に面白さが伝わる、魅力がある作品であることがわかります。気軽にではなく、ちょっと腰を据えて付き合ってほしい作品です。

作品データ

ロボットポンコッツ (グレイテスト編)
タモリはタル
講談社 コミックスボンボン 1999/1 ~ 全5巻
講談社 KCDX 2013/12 ~ 全2巻 (←今回読んだ版)
同名ゲームが原作の漫画
ゲーム版同様に漫画版の続編あり
2013年に出た新装版のグレイテスト編は旧版の4巻まで収録されており5巻はロボットポンコッツ2の新装版であるスペシャリスト編に併録されている模様

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表紙と外部リンク

ロボットポンコッツ グレイテスト編 上
2013年12月発売
ロボットポンコッツ グレイテスト編 下
2013年12月発売
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