デジモンクロスウォーズ 【漫画版】

漫画感想記35冊目

困っている者はほっとけない少年・タイキは、不思議な声によって、デジタルワールドに導かれる! そこでタイキは、バグラ軍の侵略に立ち向かうシャウトモン達と出会う。運命がクロスし、今、冒険が始まる…!! 【1巻裏表紙より引用】

登場人物

工藤タイキ

赤のX(クロス)ローダー所持者、工藤(クドウ)タイキ。類まれな運動神経と面倒見の良い性格であることから複数の運動部の助っ人を掛け持つ。ただの天才型ではなく、多くの練習もこなす努力家の顔を併せ持つ。助っ人活動から帰る途中に苦しむシャウトモンの声を聞き、助けようとしていたところ謎の声からXローダーと呼ばれる伝説の端末を渡され、デジモンたちが暮らすデジタルワールドに飛ばされてしまう。選ばれし者にのみ使えるデジクロスの力を使えたタイキにデジモンを率いるジェネラルになるよう頼まれるが、元いた世界に戻ることを選ぶ。しかし、元いた世界に帰るためには次元の扉を開くためのコードクラウンが必要となり、コードクラウン探す旅の中でシャウトモンの目指す夢に心を打たれ、シャウトモンをデジタルワールドのキングにするため、ジェネラルになることを決意する。

タイキの持つカリスマは人もデジモンも敵も味方も関係なく惹き付ける。戦術を学んでいないにも関わらず采配には天稟を感じさせ、歴戦の武士であるタクティモンすらその感性を褒める。傍から見ると深く考えているようには見えないが、視野が広く機転も利き、鋭すぎる部分を持ち合わせる。また、怒った際に見せる気迫はダークナイトモンから竜に準えられるほど。圧倒的な才覚と情熱を持ちわせているにも関わらず、自らのために使われることがなく、他の者にしか使われないため不思議がられている。パートナーのデジモンはシャウトモン、バリスタモン、スターモン、ドルルモンなど。

陽ノ本アカリ

タイキの幼馴染、陽ノ本(ヒノモト)アカリ。素直にはなりきれないツンデレ気質の性格。ぼんやりしているタイキのお目付け役と同時に多忙なタイキのマネージャー役をこなす。タイキと剣術家の剣(ツルギ)ゼンジロウと共にデジタルワールドに飛ばされ、タイキと元いた世界に帰ることしか考えていなかったが、タイキがジェネラルになることを決めるとタイキの誘いもあってデジタルワールドに残る道を選ぶ。デジタルワールドに飛ばされたが、Xローダーの使い手であるネネ曰くXローダーを使うための資格はないとのこと。

蒼沼キリハ

青色のXローダー所持者、蒼沼(アオヌマ)キリハ。タイキより以前にデジタルワールドに迷い込み、ブルーフレア軍を率いるジェネラルとなる。大きな野望を標榜し、タイキの才を高く評価することから部下として引き抜きを画策するも反発されてしまう。甘さからタイキの才が潰れることを惜しみ、タイキのデジモンを始末するため行動を起こす。首筋に刃物を当てられても顔色一つ変えず、大胆にして冷静なその様からダークナイトモンから虎に準える。また、タイキとキリハを混じり合うことのない色と評す。パートナーのデジモンは、グレイモン、メイルバードラモン、サイバードラモンなど。

天野ネネ

黒のXローダー所持者、天野(アマノ)ネネ。コードクラウンの使い方がわからず困っていたタイキの前に忽然と現れた、チームトワイライトのジェネラル。とある計画のためタイキかキリハのどちらかをパートナーにしようと画策し、タイキとの相性が良いと考えるが、澄みきった心と鋭すぎる部分を警戒して選ぶことを躊躇う。もう一方のキリハからも出歯亀趣味や、見下げ果てるなど辛辣な言葉を投げられ、良好な関係とは言い難い。幻術使いのベックモン、飛行可能なスパロウモン、魔王クラスの実力者ダークナイトモン、伝説の怪鳥オニスモンなど多数の強力なデジモンを擁するジェネラル。

ロボット要素

シャウトモン

デジタルワールドのキングを目指す、シャウトモン。デジタルワールドのグリーンゾーンにある微笑みの里の出身。傷だらけで瀕死のところをタイキの手によってX(クロス)ローダーに保存、再生(リピート)されたことで九死に一生を得る。デジタルワールドに魂のロックを響かせるためにキングを目指しており、ソウル・ブラザーとなったタイキと共にキングになるためにひた走る。攻撃は火の玉を飛ばす、ロックダマシーなど。単一のデジモンとしてもそれなりの力を持つが、バリスタモンやスターモンなどと合体進化、デジクロスすることで真価を発揮する。

グレイモン

キリハのデジモン、グレイモン。主のジェネラルすら食い殺すと噂されるほどの凶暴性と、高い戦闘力を持つ。攻撃方法は尻尾を叩きつける、ブラスターテイル。角を立てた突撃、ホーンストライクなど。キリハのことを仕えるに値するジェネラルとして認め、反発しつつも堪える度量を見せる。

シャウトモンX3

シャウトモンがデジクロスした姿、シャウトモンX(クロス)3。シャウトモンとバリスタモンがデジクロスすることでX2となり、ドルルモンがデジクロスに加わることでX3となる。シャウトモンのデジクロスはデジクロスするデジモンの数が多くなればなるほど強力になる。攻撃方法は高速回転した腕で殴る、ハイアドモスフェリックプレッシャー。胸部のV字状パーツから放つ、スリービクトライズなど。

メタルグレイモン

メイルバードラモンとグレイモンがデジクロスした姿、メタルグレイモン。多対一を実現する超高火力型のデジモン。攻撃方法は射突武器、トライデントアーム。背面の全砲門から放たれる、ギガデストロイヤーなど。

タクティモン

バグラ軍三元士の一人、タクティモン。デジタルワールドの覇者であるバグラモンが率いるバグラ軍の幹部であり、その武力はバグラ軍最強とされる。手にする刀の名は蛇鉄封神丸(じゃてつふうじんまる)。あまりの威力にデジタルワールドの一部であるゾーンそのものを崩壊させる危険性から自ら封印していると噂され、鞘から抜かれることはない。攻撃は鞘を使った打突攻撃、鬼神突(きしんとつ)。一夜城を出現させる三の太刀、天守閣など。好きな言葉は完璧。目的のためであれば部下すらも道具のように扱う冷酷な性格の持ち主。その性格及び戦術から、片腕であったドルルモンの離反を招いてしまう。

ダークナイトモン

ネネ率いるチームトワイライトの切り札、ダークナイトモン。魔王クラスの強力なデジモンであるが、多くのデジモンに精通したバグラ軍三元士の一人であるリリスモンすら存在を知らなかった。三元士であるリリスモンには届かないながらも高い実力を秘め、バグラ軍と戦うための魔力を体内に溜め込みその機を伺う。武器の両槍からツインスピアという突き攻撃を行う。ネネのパートナーのデジモンというだけではなく、レインゾーンに存在し多数の強力なデジモンが水晶の中で眠る、黒水晶宮(ダーク・クリスタルパレス)の主でもある。

作画

とにかくタイキとキリハのカッコよさが際立っています。女の子は垢抜けていない感じのシンプルな可愛さがあります。

デジモンといえば生物的なイメージが強いでしょうが、本作は複数合体(デジクロス)が重要な要素となっており、メカメカしいデジモンが数多くでてきます。

後半になるにつれて合体するデジモンが増えることで、勇者ロボや戦隊ロボのような合体をするため、デザイン的にごちゃごちゃします。絵柄自体は受け取りやすいため、少し時間を掛けて読むと戦闘の流れが理解しやすくなります。本作の作画は一定の派手さはありつつもとにかく読みやすく、シンプルに全部が上手い。子供が読んでも受け取りやすいだけでなく、大人が読んでも納得できる質を持っています。

雑感

本作は全4巻と短い方の作品になりますが、巻数の少なさからは考えられないほど詰まっています。詰め込まれているのにまとまりも良いので理解もしやすい。当然駆け足な部分はあるので不足はありますが、それ以上の情熱が存在することで登場人物に愛着を持てます。

本作はVジャンプに連載された作品で、デジモンシリーズであることからも子供がメインターゲットなのでしょう。しかし、大人が楽しめないかというとそうではなく、どちらかといえば子供向けにしては少し難しく感じます。ですが、子供が楽しめないのかというとそれも違います。本作に描かれる物語は子供を惹き付けるだけの力が備わっているはずです。

そして、デジモンシリーズを知らなくても楽しめます。自分は多少の知識しか持ち併せておらず、他のシリーズ作品を通して観たり読んだりしたこともありませんが、それでも十分すぎるほどに楽しめました。他のシリーズを知っていればより楽しめた部分もあるでしょうが、不満に感じる部分はありません。本作は一言で言えば名作です。前提条件など何もありません。予備知識も要りません。年齢も問いません。面白い漫画が読みたいならば読めばいいだけです。


作品データ

デジモンクロスウォーズ
中島諭宇樹
集英社 ジャンプ・コミックス 2010/12 ~ 全4巻
アニメを原作とした作品
デジモンシリーズの大本はデジタル玩具になるはず


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表紙と外部リンク

デジモンクロスウォーズ 1
2010年12月発売
デジモンクロスウォーズ 2
2011年7月発売
デジモンクロスウォーズ 3
2011年11月発売
デジモンクロスウォーズ 4
2012年5月発売

余談

特にネタバレとかはなく雑感で書くには長くなりそうなのでこっちでやります。

知らない人もいるでしょうが、本作は元々評価が高く、読む前からその評価の高さは知っていました。実は感想記で書く前にも一度読んでおり、感想記で書くにあたって改めて読んだわけなんですけど、やっぱり面白かったし、質の高い漫画だと再確認できました。

そして、今回本文の方で後悔があります。キャラ紹介やメカの紹介って毎回時間はかかるし上手く出来ることも殆どないのだけど、今回特にやりきれなかった思いがあります。紹介文ではタイキを完璧超人のように書いたのだけど、葛藤や過去の後悔も性格の形成に大事な要素となっています。既に長文であるのにさらに長くなってしまうことから諦めましたが、表面的な部分だけではない魅力を伝えていませんよね。

今回本文の書き方にもう一つ後悔があって「本作は子供を大人に、大人を子供(童心)にする漫画」で締めるつもりだったのだけど、上手くつなげられなかった。。以上、作品とはあまり関係のない余談でした

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