コードギアス反逆のルルーシュ 【漫画版】

漫画感想記45冊目

神聖ブリタニア帝国に占領された日本。「エリア11」と数字で呼ばれ、自由と権利を奪われたこの国で、一人のブリタニア人の少年が世界を変える力を手に入れた。彼の名は、ルルーシュ。ブリタニアへの復讐のためなら、手段は選ばない。野望を秘めた少年の、孤独な戦いが幕を開ける! 【1巻裏表紙より引用】

登場人物

ルルーシュ・ランペルージ

アッシュフォード学園の学生、ルルーシュ・ランペルージ。学園の生徒会メンバーで副会長を務める。チェスを得意としており、人を使うのが上手く、何事も効率よくこなす。しかして、その正体は世界を三分する大国、神聖ブリタニア帝国の第11皇子、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。皇位継承権は17位。母親のマリアンヌ皇妃は庶子の出であったことからテロリストの仕業に見せかけて謀殺され、ルルーシュは妹のナナリーと共に厄介払いを兼ねて日本に人質として送り出される。その後、ブリタニア帝国が日本を占領すると、ルルーシュとナナリーは死んだことにされ、庇護者のアッシュフォード家によって匿われる。過去を隠し、盲目で足の動かないナナリーの世話をしながら学生として日々を過ごしていたが、謎の声に導かれるままにC.C.(シーツー)と出会い、C.C.を助けたことでルルーシュの運命は大きく動き出す。C.C.と契約を交し絶対服従の力、ギアスを与えられ、強靭なギアスの力と、大胆な戦略でブリタニア帝国の打倒を目論むようになる。身分を隠すために仮面を被り、ゼロを名乗り、弱者の味方を自称する反ブリタニア帝国組織、黒の騎士団を結成する。

枢木スザク

名誉ブリタニア人、枢木(クルルギ)スザク。日本最後の首相、枢木ゲンブの息子ながら日本国籍を放棄し、ブリタニアの国籍を得て、名誉ブリタニア人となる。ブリタニア人からは日本の現在の領土名である11(イレブン)の蔑称で呼ばれ、日本人(イレブン)からはブリタニアの犬と蔑まれる。ブリタニア人とイレブンの共学であるアッシュフォード学園に通うが、校内でもブリタニア人とイレブンの関係は悪く、どちらでもないスザクはイジメの対象となってしまう。人質として枢木家に送られてきたルルーシュとナナリーとは幼少期の頃を共に過ごし、深い友情関係を築いていが、スザクはルルーシュとの関係を隠すため距離を置こうとするも、ルルーシュによって強引に生徒会に引き入れられ旧交を温める。スザクは学生の身分とは別に、ブリタニア軍に所属する。階級は一等兵。軍の機密情報を見たルルーシュを撃つよう上官から命令されるも、命令を拒絶したことで上官に撃たれ、重症のところをアシュフォード学園の教師であり、裏では軍人の顔を持つロイドに助けられる。その後、ロイドの特別派遣嚮導技術部(通称、特派)に所属しゼロと敵対する。

C.C.

謎に包まれる少女、C.C.(シー ツー)。名前はイニシャルと思われ、本名は不明。墜落したブリタニア軍の飛行機に積まれていたカプセルの中で全身を拘束され眠っていた。ルルーシュに助け出され拘束を解かれるが、ルルーシュを庇って銃弾を受けてしまう。ギアスの力を託し死んだと思われたが、平然とした姿でルルーシュの前に再度現れる。ルルーシュにギアスの力を授けこそしたが、ギアスに関することは殆ど喋らないため、正体や目的は一切わからない。C.C.を見失ったブリタニア軍は毒ガスのカプセルと隠蔽して捜索を続ける。エリア11の総督であるクロヴィスの命令で運ばれていたことは判明するが、その目的は不明。

ユーフェミア・リ・ブリタニア

神聖ブリタニア帝国第3皇女、ユーフェミ・リ・ブリタニア。通称ユフィ。エリア11前総督、クロヴィスの跡を継ぎエリア11の新総督に就任する。総督という役職ながら、飾りとして扱われ、自らの意思を反映できないことに苦悩する。皇族ながら偏見の目を持たず、名誉ブリタニア人であるスザクにも優しく接し、周囲からの反発を一蹴して、専属の騎士にスザクを選ぶ。幼い頃はルルーシュとナナリーとも仲が良く、一目見ただけでルルーシュの存在に気づく。現在も昔と同様に仲良くしたいと考えるが、立場の違いからすれ違いが続く。

カレン・シュタットフェルト

病弱の美少女、カレン・シュタットフェルト。容姿端麗、成績優秀で通るが、病弱であるため学校にはあまり登校しない。ブリタニアのシュタットフェルト家の令嬢であるが、日本人の愛人との子であるため、ブリタニア人とイレブンのハーフである。義母は実母を蔑むため仲が悪く、実母はリフレインという麻薬の後遺症で意識を失い寝たきりになっている。ブリタニア人のために整備されたブリタニア租界と、敗戦者である日本人の絞りかすの街、ゲットーで成り立つエリア11を嘆き、反ブリタニア活動に従事する。病弱設定であるが、実際は高い身体能力を持つ活発な少女。日本名の紅月(コウヅキ)カレンの名前に誇りを持ち、組織で活動する際は日本名を名乗る。不可能を可能とするゼロの行動力および作戦立案力に惚れ込み、ゼロに絶対の忠誠を誓う。後にゼロが結成する組織、黒の騎士団の中枢メンバーとなる。

シャーリー

生徒会のメンバー、シャーリー。ルルーシュに好意を抱き、ルルの愛称で呼ぶ。ルルーシュと出会った当初は冷めた態度から苦手意識を持っていたが、人となりを知るうちに気付いたら好意を寄せていた。現在の関係が壊れることを恐れて告白できず、周囲の後押しもあって決心をするが、告白の場で仲の良かった父親の死を知らされる。父親はゼロが引き起こしたテロに巻き込まれて亡くなり、ゼロの正体がルルーシュであることを知ってしまったことで、愛する人でありながら憎む人となってしまう。

ロボット要素

VTOL

VTOL(垂直離着陸機)。ブリタニア軍やテロリストの主力戦闘兵器。

アニメのコードギアスにはナイトメアフレーム(以下KMF)という明確なロボット要素が存在するが、本漫画にKMFは一切出てこない。

作画

キャラの作画はトゲトゲとした印象がなく、柔らかく暖かみがあります。アニメと比べると1巻はバランスが少し悪く、キャラが幼くなったように感じます。しかし、2巻以降は改善され、全体の質も高くなり、最終的にはかなりの満足感が得られます。

本作にKMFこそ出てきませんが、戦艦や戦闘機といったメカはちょこちょこ出てきます。メカの作画に強い魅力は感じませんが、違和感なく丁寧に描かれており、チープさも感じません。

各巻には数ページずつカラーページがあり、淡い(淡くない?)塗りがとても綺麗です。巻が進むと線がより繊細となり、綺麗な塗りと繊細な線の美麗なイラストが堪能できます。

雑感

原作となるアニメを見ているので、その上での感想となります。単純な作品ではないだけに、アニメ未見の人とでは感じ方が違ってくると思います。その点は予めご了承ください。

作画の項で書きましたが、1巻は絵が安定しません。そして、1巻と2巻は話の構成に苦労を感じます。メカの項で書いた通り、本作にはKMFが出てきません。そのために、戦闘の規模は縮小され、漫画独自の解釈によって話を消化しなければならず、漫画オリジナルの部分で唐突に感じたり、表現の仕方に疑問を憶えます。しかし、この問題は3巻以降は上手く消化されるように改善されますので、1巻、2巻の間だけの問題だと思います。

本作とアニメの違いはKMFが出ないことだけではありません。本筋は同じながらも細部は大きく異なります。KMFのパイロットの多くは登場しませんし、役割が大きく変えられたキャラも存在します。コミカライズとしてみると細部の違いは気になるところですが、上手に処理できていますし、感心したのは終盤の展開です。二転三転して複雑な状況をわかりやすく説明しており、かなり理解しやすい作りになっています。

本作を読んで最初の部分では躓いている印象を持ちましたが、全8巻を通して読んでみると良いコミカライズだと思いました。細部こそ異なるものの、アニメで見た印象的なエピソードはしっかりと描かれ、当時アニメを見て感じた気持ちや感情の揺れを本作でも感じられたのは個人的にとても嬉しかったです。

8巻という巻数は多くもなく少なくもない巻数ですし、8巻で綺麗にまとまっているので読みやすく、アニメを見るのが大変だと感じる人にはオススメしやすい作品になっています。また、ロボット成分をギアスに求めていない人には読みやすいと思います。逆にロボット成分を求めて読むのは絶対にやめてください。アニメを見ていたからこその感想となりますが、満足できる作品でした。

作品データ

コードギアス 反逆のルルーシュ
マジコ!
角川書店 あすかコミックスDX 2006/12 ~ 全8巻
同名アニメのコミカライズ作品ながらロボットが出てこないなど多くが異なる
1~5巻は1部(無印)の6~8巻までが2部(R2)のコミカライズとなっている

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表紙と外部リンク

コードギアス 反逆のルルーシュ 1
2006年12月発売
コードギアス 反逆のルルーシュ 2
2007年6月発売
コードギアス 反逆のルルーシュ 3
2008年1月発売
コードギアス 反逆のルルーシュ 4
2008年3月発売
コードギアス 反逆のルルーシュ 5
2008年8月発売
コードギアス 反逆のルルーシュ 6
2009年4月発売
コードギアス 反逆のルルーシュ 7
2009年9月発売
コードギアス 反逆のルルーシュ 8
2010年3月発売

余談(ネタバレ注意)

ネタバレに全く配慮せずアニメとの違いだったり、個人的な想いだったりを書いていきます。

本作で良かったと強く感じたのはシャーリーのエピソードが結構描かれていたことです。アニメを見ていてもシャーリーの存在は大きかったし、今回読んだ漫画版でも同様に感じられました。恋に生きる普通の少女がゼロの騒動に巻き込まれ、普通の少女には取れない選択をし、それでいて普通の少女でした。1部でも2部でもシャーリーのエピソードが一番刺さったので、あの時と同じ気持ちで読めたというのは大きかったです。

で、アニメとの違いについてになります。KMFが出ないことで戦闘規模が小さいので、最初は学生運動や全闘みたいな小規模な争いになっています。この辺のエピソードはアニメを見ているとちょっといびつで弱く感じるかと思います。

アニメと一番大きな違いはヴィレッタになるかな。扇との恋愛関係が全くありません。というか、扇が端役に成り下がっています。そして、ヴィレッタは本来であれば一部から出てきますが、本作は二部からの登場となり、アニメではアーニャがマリアンヌの器となっていたところを、本作ではヴィレッタが器になっています。アーニャは出てくるものの端役に成り下がっています。

そして、KMFが出てこないこともあってKMFのパイロットの多くもリストラされています。四聖剣は藤堂のみ。ナイトオブラウンズもジノとアーニャのみになります。

ユフィ関連もさっぱりしています。姉のコーネリアが出てきません。ニーナの話も全く無く、ニーナはもしかしたら作中で名前すら呼ばれていないかも。

全8巻で、1~5巻が1部、6~8巻が2部なので、2部が駆け足に見えますが、2部はよくよく考えると戦闘の比重が大きかったので戦闘を簡略化すると意外と駆け足に感じないものです。そのため、全8巻ながら綺麗にまとまっているように感じられました。あと、掲載誌は少女漫画雑誌とのことですが、それほど気になるものではないです。少女漫画に抵抗がある人でも多分問題ないでしょう。

はい、以上になります。ギアスは漫画もいっぱいあるので、これから長い付き合いになりそうです。

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