トップをねらえ! 【漫画版】

漫画感想記30冊目

宇宙戦艦「ルクシオン」の提督である父親を、宇宙怪獣の襲撃によって失ったタカヤ・ノリコ。彼女は父の遺志を継ぎ、宇宙パイロットを目指すのだが――!?GAINAXが誇る伝説のアニメが遂にコミック化!! 【1巻裏表紙より引用】

登場人物

タカヤ・ノリコ

帝国宇宙軍付属沖縄女子宇宙高等学校、通称沖女の1年生、タカヤ・ノリコ。父親は宇宙怪獣に滅ぼされたルクシオンの艦長を務めた。憧れの父の意思を継ぐため宇宙パイロットになることを志し、難関の沖女に入学を果たすが、父親のコネで入学できたと陰口を叩かれ、全滅娘の蔑称を付けられ蔑まれる。幼馴染で親友のヒグチ・キミコに励まされながら学生生活を送ると、新造ロボット計画のパイロット候補生に沖女の代表として選ばれる。当初はマシーン兵器を歩かすことすらままならず、コーチのオオタに取り入って代表に選ばれたと噂されるも、オオタとの猛特訓の末に確かな技術を身に着けてゆく。メンタル面に大きな不安を抱えており、打たれ弱い部分がある。

アマノ・カズミ

沖女3年生、アマノ・カズミ。沖女No.1パイロット。お姉さまの愛称で敬われ、ノリコも憧れる。未熟なノリコがパイロット候補生に選ばれたことに反発を見せるが、沖女No.2のカシハラとの決闘を制したことでノリコの実力を認める。パイロット候補生からなるトップ部隊に移った後はノリコとパートナーを組み、やや過保護な面を見せる。トップ部隊内でも天才の呼び声は高く、他所のパイロット候補生からはバラの女王様の二つ名を付けられるが、影での練習量は誰よりも多い努力家。

ユング・フロイト

宇宙戦闘の天才、ユング・フロイト。カズミの良きライバルで、事ある毎に対抗心を見せる。幼い頃にパイロットの適性を見い出され月面のパイロット育成施設で育った過去を持つ。気高い面を見せるが砕けた性格をしており、ノリコと誕生日が同じという縁からパーティを企画するなど、気遣いが出来る。当初はノリコをパートナーにしようと目論むも、カズミの抵抗に遭うとパートナーの座を譲り、優秀なパイロットであるリンダをパートナーに選ぶ。

オオタ・コウイチロウ

沖女の講師、オオタ・コウイチロウ。ノリコにパイロットの素質を見出し厳しい訓練を課し、ノリコとカズミを沖女の代表に指名する。ノリコの技量の低さゆえに指名したことで反発が生まれるが、猛特訓の末カシハラと渡り合えるまで技量を高める。沖女だけでなくトップ部隊でもマシーン兵器の操縦を指導し、ただの指導者というだけでなく、ガンバスター開発計画の中心人物としても活動する。ルクシオンクルーの一人であり、ノリコの父親であるタカヤ・ユウゾウの副官であった過去を持つ。ルクシオン脱出艇の最後の一席をタカヤ提督から譲られ、その時の後悔から兵器の開発と次代の育成する道を選ぶ。

ロボット要素

ガンバスター

人類の守護神、ガンバスター。ノリコが乗るバスターマシン1号機が上半身、カズミが乗るバスターマシン2号機が下半身となり合体した姿。オオタが中心となり極秘裏に開発が進められ、既存のマシーン兵器とは全く異なる設計思想で作られた。RX-7と比べると数十倍の大きさを誇り、パイロットの力に応じて無限大の力を発揮するとされる。頭部中央から放たれるバスタービーム。飛び蹴りから繰り出されるスーパーイナズマキック。掌から放たれる無数の光、ホーミングレーザー。指先に内蔵されたバスターミサイル。近接用のバスタートマホーク。両手両足に内蔵した電撃兵器を全開する、ダブルバスターコレダーなどなど、武装が豊富。両掌から発生する慣性中和機能(イナーシャル・キャンセラー)はバリアのように機能し、全身を覆うマント、バスターシールドも高い防御性能を誇り、攻防が高次元にまとまった機体。

RX-7

最新鋭のマシーン兵器、RX-7。トップ部隊の運用兵器としてエクセリオンに搭載される。基本操縦は沖女でも使われていた訓練機など従来の機体と変わらない。基本武器は手持ちの槍と、対宇宙怪獣用のカリフォルニウム核弾頭を背面に装備。パイロットに合わせて機体のカラーリングや頭部形状や細部が異なる。機動力は低下するが防御力の向上が見込めるG型装備のオプションも存在する。宇宙怪獣と戦うための最新鋭の機体であるものの、数で優る宇宙怪獣相手には性能不足な面は否めなかった。

シズラー黒

量産型ガンバスター、シズラー黒(ブラック)。シズラー主任技師が作り上げたマシーン兵器。ガンバスターをより実戦向けに改造した機体で、部隊運用が可能な点で総合力ではガンバスターを凌駕するとのこと。シズラー技師によれば量産可能なシズラーがあればガンバスターなど必要ないとのことで、対宇宙怪獣の中心兵器となる。武器は前腕部の装甲内にエネルギー兵器を8門、頭部中央にシズラービームを内蔵する。同型機の色違い機にシズラー白(ホワイト)、シズラー銀(ぎん)が存在する。

エクセリオン

第四世代航宙艦、エクセリオン。新造戦艦であり、最精鋭部隊トップの母艦となる。艦内部には多数のマシーン兵器、そして、開発途中のガンバスターを搭載する。

宇宙怪獣

宇宙怪獣。2015年、地球より1万2千パーセク離れた銀河系ペルセウス腕でルクシオン艦隊が初接触。脱出艇に乗れたものは生還できたが、その他の者は宇宙怪獣の攻撃によって死に絶えた。個体ごとに大きさや戦闘力は異なり、個体によっては磁場でビーム拡散させる防御性能を持つ。宇宙怪獣の詳しい行動原理はわかっておらず、ただ人類の滅亡のために攻勢をしかけているとされ、恒星に卵を産み付けて増殖、拡大し戦力を拡充する。

作画

小綺麗で受け取りやすい絵柄ですが、アニメを知る身としては生々しさが抜け落ちている印象です。女性キャラに関してはキャラデザの差異として受け止められるも、男性キャラの作画は重みに欠けます。特にコーチは若々しく暑苦しさや面倒臭さのようなものが抜け落ちています。

メカの作画は丁寧。デザインやバランスを崩すこと無く描かれ、特に戦艦や戦闘機などに作画の質の高さが伺えます。反面、ガンバスターには苦労の跡が見受けられます。デザインやバランスを崩してないのは戦艦などのメカ類と同じですが、大きさ故にか引きの絵が多く、状況が理解しやすいのだけど迫力が控えめになっています。ハッタリも少ないので淡白に感じる要因にもなっているし、ポージングにも玩具っぽさを感じてしまい力感が伝わりません。ただし、RX-7や練習機の作画にはそういった問題がなく、迫力と緻密の両立ができていますので、ガンバスターの大きさに苦労したのかなと思われます。

画像のバスターホームランはそんなに大きなカットではないので流して読めば良い部分なのですが、折角ならばもっと面白おかしくしてほしかった。どう足掻いてもおふざけ武器なので、作画の方でも冒険して良かったのではないでしょうか。

本作に出てくるRX-7はアレンジされたデザインでの登場となり、サービス良く設定画載せてくれています。

雑感

アニメは遠い昔になりますが見ています。そして、アニメ本編の続編となるNeXT GENERATIONも以前に読んでいます。そちらは感想記で扱ったものなので興味があれば見てください。NeXT GENERATIONにはもう一つ漫画版があるのですが、そちらは感想記では未だ扱っていないものの既読です。続編アニメの2も見ているので、シリーズ作品には結構触れていることになるはずです。

トップをねらえ! NEXT GENERATION 発掘戦艦アレクシオン編

2047年――バスターマシン3号がアマノカズミを乗せて地球を出発した後、人類は地球脱出をめぐり大きく分裂した。シリウスへ移住を敢行した一部人類は前史古代超文明を発見。理力の理論家・兵器化に成功すると同時に真の地球を名乗り、地球帝国と激しく対立する。2245年――エルトリウム帰還…

遠い昔の記憶なので細かい部分は覚えていませんが、本作はアニメで描かれたエピソードの大体が漫画になっています。始まりから終わりまで描かれ、各エピソードのつなぎとなる部分も新たに補完され、より物語が理解しやすくなっています。全5巻ということもあって急ぎ足に感じる部分も少ないです。

補完部分はつなぎだけでなく、エンディングにも及びます。今まで発表されてきたシリーズをつなげるようなエピローグが新たに追加され、シリーズファンには感慨深いものがあるのではないでしょうか。

シリーズが好きな人ならば嬉しい要素が多くあるものの、同時に細かい部分も結構気になりました。失礼な表現になりますが、わかりやすいお涙頂戴の味付けがされているのと、台詞回しが軽い印象です。コーチや艦長の台詞に軽さを感じたわけですが、これは自分が記憶を美化してキャラのイメージを作り上げている可能性もあります。しかし、だとしても軽い印象はあるので、言い回しはもっと練れたかと思います。

本作はアニメ未視聴の人向けです。アニメのイメージを引きずって読むと差異が気になります。視聴済みの人の場合は予めフラットに整理してから読み始めたほうが楽しめるでしょう。未視聴であれば細かい部分は気にせず、トップをねらえの雰囲気に触れることができるはずです。全5巻とそこそこの巻数なのでじっくりと楽しめます。

作品データ

トップをねらえ!
かぼちゃ
角川書店 角川コミックス・エース 2011/8 ~ 全5巻
同名アニメを原作としたコミカライズ
後に発表されたシリーズ作品の要素などを取り込んだ新規アレンジも多数あり







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表紙と外部リンク

トップをねらえ! 1
2011年8月発売
トップをねらえ! 2
2012年2月発売
トップをねらえ! 3
2012年8月発売
トップをねらえ! 4
2012年11月発売
トップをねらえ! 5
2013年8月発売
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