漫画感想記9冊目
2047年――バスターマシン3号がアマノカズミを乗せて地球を出発した後、人類は地球脱出をめぐり大きく分裂した。シリウスへ移住を敢行した一部人類は前史古代超文明を発見。理力の理論家・兵器化に成功すると同時に真の地球を名乗り、地球帝国と激しく対立する。2245年――エルトリウム帰還。ユング・フロイトが地球帝国に代わり銀河連邦を創設。地球-シリウス間を停戦させ、ガンバスターの救出計画を開始するが失敗に終わる。これによる損害の為、エルトリウムの科学は理解不能となってしまった。かくして旧帝国遺産の奪い合いが始まる。やがて戦争の膠着状態となり、第三の存在、宇宙海賊が跋こする時代が訪れた。2048年――『NEXT GENERATION』この物語はここからはじまる。ノリコとカズミの地球帰還まで1万2千年……【目次より引用】
登場人物
タケシ・サワムラ
タケシ・サワムラ。親がシリウスからの亡命者であるため亡命者の息子と蔑まれるが、タケシ本人はシリウスに関しての知識を銀河連邦の常識レベルでしか持ち合わせていない。M1かに星雲方面、ノースα基地の第17辺境守備艦隊連邦に所属していたが、惹かれていた女性に背中を押されたことで最精鋭部隊である、S・TOP(セカンダリィ・トップ)部隊に転属を希望する。辺境守備隊では優秀な戦績(成績)であったため受理され、S・TOP部隊に配属される。S・TOP部隊での成績は下の方である。
ジェニー・カール
ジェニー・カール。階級は少尉。プレアデス方面基地よりS・TOP部隊に体験参加することになった凄腕のパイロット。しかし、それらの経歴は偽造されたもので、合同演習中に突如として同僚機を撃ち落として脱走を図る。このことからシリウスのスパイと連邦は判断をするが。
マイク・ロフト
マイク・ロフト。階級は少尉。ジェニーと共にプレアデス方面基地よりS・TOP部隊に体験参加することになった凄腕のパイロット。彼女もまた本来の目的は別にあるが、タケシを興味の対象と捉えて接するうちにそれだけでは説明できない感情を抱くことになる。本来の立場としてはジェニーの上位に位置するようだが、ジェニーの独断を制する事ができないなど両者の関係にも謎が多い。性格面では羞恥心を持ち合わせておらず、常識が抜け落ちたようなふるまいが目立つ。
パイル・ジェニスン
サウスθ方面軍よりS・TOP部隊に配属となった、パイル・ジェニスン。S・TOP部隊ではタケシと同僚となる。明るい性格の持ち主のため、奇異の目で見られがちなタケシと良好な友人関係を築く。ジェニーの脱走事件の際にタケシが同乗していた戦闘機に撃墜され、タケシに撃たれたのだと勘違いをしたことで二人の関係は壊れ、袂を分かつことになる。
ロボット要素
サンダーセプター改修機
サンダーセプター改修機。損傷が激しかった2機のサンダーセプターを1つの機体にしたもの。改修の過程で元となった機体より性能面が大きく向上しただけでなく、通常2人乗りのところを3人乗りとし、分離合体も可能となった。分離時は1号機がタケシ搭乗の格闘戦闘機、2号機はマイク搭乗の攻撃機、3号機にジェニー搭乗のミサイル重戦機とそれぞれなる。
本機の元となったサンダーセプターは2489年段階では新鋭機でありS・TOP部隊の採用機であったが、2495年には高速起動、格闘戦重視のイーグルアローにその座を奪われている。
バーミリオン
S・TOP部隊の母艦となる、バーミリオン。発掘されたツイン・エクセリオン級の改修艦。この時代の技術レベルでは満足な修復を行うことが不可能なため、製造時と比べると戦闘力は非常に大きく落ちている。
バスターマシン
マシーン兵器は失われた技術の代表的な代物で、現在の技術レベルでは動かすことどころか、作動原理すらも全くわからなくなってしまっている。そのため本作ではシルエットのみの出番となっている。
作画
絵柄としては一昔前なので、現在の絵柄に慣れすぎている場合は戸惑う部分もあるかもしれませんが、問題にならないレベルで綺麗です。各キャラの表情も豊かで読みやすいです。
メカもキャラ同様に質の高い作画で、戦闘場面も読み応えがあります。
戦艦は遠目のカットが多いので、強烈な書き込みというのは中々お目にかかれませんが、必要十分な線量は確保されているのでチープさは感じません。作品の作画は全体を通して読みやすさに主眼が置かれている印象です。
雑感
トップをねらえの関連漫画をいままでに幾つか読んできましたが、本作はかなりの異色作です。まず、主人公が男性な部分があげられます。男主人公だからと言ってトップの雰囲気は薄れておらず、その部分での違和感はないのですが、アニメの1と2、そして本作と同じくNeXT GENERETIONをタイトルに冠するもう1つの作品も主人公は女性でしたので、本作の特徴の1つとは言えるでしょう。
また、他のシリーズ作品と比べるとライトな部分が薄めな印象です。物語の序盤からアニメ中盤程度の雰囲気を持ち、コミカルとシリアスのギャップが弱いぶん、作品の雰囲気が掴みやすくなっています。とはいえ、全編を通してシリアスな感じではなく、ちょくちょくライトな感じを出しつつなので、読み疲れもそれほど起こらず、一気読みに最適なバランスです。
本作の明確な欠点は未完作品なことです。第一部完となって終わっていますが、物語を終わりまで描くなら最低でも第一部の2倍は必要だと感じるほどに第一部は序章でしか無い印象です。物語の行き着く先であったり、これから待ち受ける波乱の数々が想像できるようでありながらも、妄想するには情報が足りません。主人公だけは描写量的に十分でしたが、周りの人物はまだまだこれからだったはずです。全体的なバランスが良かったのでもっと読みたい作品でした。
作品データ
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表紙と外部リンク
余談
本作は総合値が示すとおりロボット要素は希薄なものです。ロボットの描写は画像に使ったカット以外では1カットか2カットあったかくらいのものです。表紙に描かれているガンバスター?グレートガンバスター?も登場しませんのでそこは理解したうえで読む必要があります。
それと冒頭のあらすじの最後の部分「2048年――『NEXT GENERATION』この物語はここからはじまる。」とあるのですけど、作品の開始は2480年代なんですよね。NEXT GENERATIONシリーズ全体の開始が2048年と受け取ればよいのか、2480年の誤植なのか、どちらなんでしょうね。気にはなりますが弄るのもおかしな感じがしたのでそのままにしました。
↓もう一つのNeXT GENERATIONも読みました。興味があれば見ていってください。
銀河系宙域戦より400年後、地球帝国は銀河連邦とシリウス同盟に二分され、人類文明は長い戦乱の中で衰退していった。銀河連邦とシリウス同盟との領土戦争は膠着、一時的な平和の中、両勢力はあゆみよりを始めていた。沖縄宇宙高校に通いトップ部隊入りを目指す少女ハヤミマリナは、ひょんなことから……
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