デュアル・イレイザー

小説感想記17冊目

イレイザーと呼ばれる機体を二人一組で操作してバトルする巷で大人気のアーケード・ゲーム「デュアル・イレイザー」。複雑な二人搭乗型ゲームを一人で操る“ぼっち”な美少女・如月紀沙羅(きさらがぎさら)。彼女は全国ランク一位・無敗の天才である。一方、脳筋野郎・東城刀雅(とうじょうとうが)。「パイルバンカーは男のロマン!」と主張する彼は、このゲームで負け続ける、単純明快・イレイザー好きな空手バカである。だが、そんな刀雅が紀沙羅の秘密を知ったことをきっかけに、二人はパートナーを組むことになってしまい……!? 天才で華麗な紀沙羅と、凡人で脳筋な刀雅。対照的な二人によるアーケード・デュアルバトルが今、ここに始まる――。 【1巻そでより引用】

登場人物

東城刀雅

熱血漢の脳筋、東城刀雅(トウジョウ トウガ)。17歳。空手の道場に通っていた過去があり、空手の腕前はそこそこながら、打たれ強く逆境にも強い。広く普及するゲーム、デュアル・イレイザーで遊ぶも、大会に出れば初戦敗退の常連。機体の制御だけであれば悪くない素質を見せるが、機体との相性で活かしきれない。なにをやるにしても熱が欠けていたが、カイに襲われる紀沙羅(キサラ)を助け、護衛役兼パートナーとなったことを切っ掛けに、心に火を灯すことになる。扱うイレイザーにはロマン武器であるパイルバンカーを装備させたがるなど理解しがたい部分はあるが、脳筋らしく割り切った判断をするため決断力には優れる

如月紀沙羅

デュアル・イレイザー全国ランク1位、如月紀沙羅(キサラギ キサラ)。二人乗りのデュアル・イレイザーを一人で扱い、勝率100%を誇る天才少女。デュアル・イレイザーの開発者にして稀代の天才、レイラ・キサラギ博士の実娘であり、デュアル・イレイザーも元は紀沙羅のために作られたゲーム。レイラ博士の娘であったため、3年前にはデュアル・イレイザー技術の軍人転用を目論むカルト教団、鮮血の古城(ブラッディ・キャッスル)に誘拐され、催眠によるトラウマを植え付けられてしまう。催眠の影響で、ゲームをプレイしているはずが、実際に搭乗していると錯覚し、敗北時のエフェクトの影響で肉体が死ぬか、心が死に廃人になる危険性を有する。また、数日プレイしないだけでも発作の症状が出てしまうため、一日に数回のデュアル・イレイザーでの戦闘を強制されている。護衛の竜胆凜花(リンドウ リンカ)に守られながらゲームセンターに連日通い、連勝を続けていたが、痺れを切らした鮮血の古城の城主、カイ率いる一団に襲われ護衛の竜胆が負傷。駆けつけた刀雅とその友人に助けられるも、負傷した竜胆の穴を埋めるべく、仕方なく刀雅とパートナーを組むようになる。

外見的には、ジト目になりやすい目とサイドポニーが特徴。語尾に、のですと付けるのが口癖。過去のこともあり性格はネガティブ思考で友達付き合いも苦手な性格であるためか、刀雅のことをあまり信用していない。友達がいないことを指摘されると、よく勝負を挑まれる岬のことを友人だと言い張るが、岬は欠片も友情を感じていない。そして、心無い言葉で岬を傷つけたあとも友達だと言い張る。また、足癖も悪く、言い合いで勝てないと脚を踏みつける。威力は極めて低い。朝はかなり弱く、体は起きていても脳が眠っているのか頬をつねられても反応を示さない。寝間着にはフード付きのくまさんパジャマを愛用する。天才である母親と比べ頭は良くないと自重するが、十分に頭は良い。

霧島桐也

刀雅の親友、霧島桐也(キリシマ キリヤ)。高身長で細マッチョで寡黙なイケメン。よくモテるが、朴念仁であることから女性っ気をまるで感じさせない。刀雅は高校生になり空手道場に顔を出すことが少なくなったが、真面目に通い続け、かなりの腕前にまで成長する。愚直で真面目なところは刀雅とは大きく異なるが、口より拳で語りたがるところは同じなため、説明もなくパートナーを解消されたことに反発し、イレイザーによる決闘を申し込む。元々は刀雅に誘われたことで始めたデュアル・イレイザーであるが、狙撃の魅力にハマり、刀雅より真剣に取り組む。刀雅が無気力になっていたのは桐也に対する劣等感からであったが、刀雅が明かすことは無かった。

陵岬

デュアル・イレイザー全国ランク2位、陵岬(ミササギ ミサキ)。両サイドにお団子がついた特徴的な髪型。ツリ目。ぺったんであることを多少気にしている。典型的なツンデレで、喜怒哀楽の怒を強く表し、よく喋る。厳しい父親にデュアル・イレイザーで遊ぶことを反対されているが、紀沙羅と同じ有名なお嬢様学校に通いながら、課外活動の体にするための同好会を作ってまで活動する。ランク1位の紀沙羅には負け続けているものの、プライドの高さから紀沙羅よりランクが低いことを認めない。パートナーの安曇野(アズミノ)あずなとは正反対の性格であるが、上手く補完しあう名コンビ。気の強く高飛車な物言いから暴漢に襲われるが、刀雅と桐也に助けられ、知人となる。その縁もあって刀雅、桐也のコンビとデュアル・イレイザーで幾度も戦うが、必ず返り討ちにしていた。

カイ

鮮血の古城(ブラッディ・キャッスル)城主、カイ。14歳。髪色は黒を基調とし、部分的に赤や緑色に染め、シルバーアクセを填め、パンクファッションで身を固める。狡猾な性格で、悪知恵が働き、仮面を器用に被ることで他人を欺く。死んだ父親が率いていた、カルト教団を受け継ぎ黒服の集団を従え、邪道の武術を扱う達人、タカオカを側近に据える。イレイザー技術の軍事転用を目論み、娘を溺愛するレイラ博士へのアドバンテージを取るため、紀沙羅を執拗に付け狙う。

ロボット要素

薄花桜(うすはなざくら)

紀沙羅の愛機、薄花桜(うすはなざくら)。紀沙羅の扱う薄花桜は無敵を誇るが、市販品である夜桜(よざくら)をカラーチェンジしただけの機体。実際はレイラ博士が紀沙羅のために作った機体で、不自然に思われないように市販品の夜桜が販売された経緯を持ち、一般ユーザーからは使い勝手が悪いと不評である。イレイザーには固有の特殊能力を持った5種類のフレームが用意されており、薄花桜のフレームはポーンフレーム。フレーム特有の特殊能力はプロモーション。フレームごとに存在するパーツの装備制限がなく、いかなるパーツでも装備することが出来るためカスタマイズの自由度が高い。薄花桜はビームナイフとアサルトライフルのみと武装が少なく、軽量であるため機動力が高く、さらに背面に装備したブースターを使いこなすことによって高い回避性能を見せる。刀雅がパートナーになってからは紀沙羅は反対するもののパイルバンカーを左腕に装備される。

イレイザーとは15cm前後のプラモデルフィギュア。操縦者はコンピューター上の画面を見ながら操作をするが、フィギュアもバトルフィールドに送られ、フィギュア同士で戦う。イレイザーの操作は複雑であるため、機体制御と武装類の操作を分担するが、紀沙羅のように特殊な才能を持つものであれば1人でも扱いこなせる。

リュストゥング

刀雅と桐也の愛機、リュストゥング。角ばってごつごつとしたマッチョ体型の重量級の機体。細かい機動戦は出来ないが、火力と防御力に優れ、レールガン、ガトリングガンを装備し、両肩に内蔵型のミサイルランチャー、背部には狙撃銃、SN-テクニカルをマウントした重武装の機体。フレームは射撃特化のルークフレーム。特殊能力はセブンスランク。二重構造の外装をパージすることで軽装型へ移行する。刀雅は格闘戦の方が得意であったが、桐也の好みに合わせて射撃戦仕様になっていた。パートナー解消後はショップ店員のアレンを新たなパートナーに迎え、装備類も見直され、未使用であったセブンスランクを使用するようになり、リュストゥングMk-IIに生まれ変わる。また、その際に刀雅のこだわりで装備されていたパイルバンカーも外されている。

ユーディット

岬とあずなの愛機、ユーディット。赤色の装甲を纏う、軽量級で女性フォルムの機体。デザインメーカー、クレッセンス社の一品物で、大会優勝者にだけ与えられた機体であるが、優勝者の紀沙羅が辞退したため、岬とあずなの手に渡る。カスタマイズの余地はほぼないが、高機動、高火力の性能とデザイン性の高さから一般販売を望む声も多い。フレームは飛行特化のクイーンフレーム。特殊能力はプリマ・メイト。自機の速度が速ければ速いほど攻撃力が増すため、高速戦闘でより輝く。腰回りのスカート状の8枚のブレード、サロメは独立して動き、単独で攻撃するだけでなく、両腕に装着することで直接武器となる。飛行速度は速く、空中で自在に動くため回避性能も極めて高い。

讐劇機関(しゅうげききかん)

カイの扱うイレイザー、讐劇機関(しゅうげききかん)。西洋甲冑に大型の盾、近接専用のソード、背中には外套を羽織った騎士然とした機体。フレームのナイトフレームは足が遅い。特殊能力は騎士の巡歴。一定時間全ての能力が底上げされる。讐劇機関はカイが使うだけあって通常のイレイザーは大きく異なり、使うことが許されていない改造イレイザーに属する。チェーンソーブレードにはモーターを仕込み、シールドは硬質の素材で改造。改造の結果圧倒的な力を持つまでになるが、重量バランスの悪さを内包する。

イラスト

あっさりと小綺麗な絵柄です。背景があまり描かれていないので若干の寂しさはありますが、可愛らしいキャラデザと清潔感のあるタッチで受け入れやすいと思います。

このようにメカのカラーイラストも口絵に載っています。モノクロのメカイラストもそこそこあるものの、主要メカの一部にイラストがないのはちょっと残念。

キャライラストは枚数も多く、様々な表情のイラストを楽しめます。1巻と3巻には口絵を減らす代わりに3つ折りのピンナップが収録されています。

雑感

本作はかなり特殊な作品だと思います。まず、一人称の地文であることに戸惑いました。普段はその部分を意識して読まないので確かではありませんが、感想記で扱った作品には無かったはずです。慣れていない一人称だから読みづらかったのかというとそうとは言い切れず、一人称でだらだらとした文章だから読みづらかったのだと思います。

だらだらと書くと悪い面のフィーチャーになってしまいますが、良し悪しの部分でした。1巻のだらだらは明確に悪しです。文章に隙間がなく、文章そのものにメリハリがなくなり、力の入れどころ(読みどころ)が全くわかりません。そのおかげで、重要な場面でもあっさり読み流してしまいそうになります。また、会話の後に刀雅の脳内独語が二言三言と続き、ツッコミんでたりもするのだけど、キレがないので面白くないし、小説特有の情緒も失っています。

2巻もこのだらだら構成に変化はありませんが、ツッコミの質が上がり、貪欲に美味しいのをいただきにいくようになるので、笑いの部分で変化を感じます。笑いというメリハリが入ることによって若干読みやすくなり、また、主人公である刀雅の視点以外にもうひとりの主人公とも言える桐也の視点も加わったりで、一辺倒であった文章に変化が感じられます。

本作は文章の壁が最初に訪れ、1巻の170ページくらいまで読んだあたりでようやく感覚的に掴めます(自分の場合は)。感覚が掴めたら全て楽しめかというと、そうではありません。他にも設定面の詰めの甘さや、3巻ではロボ描写の細部が潰れてしまっていてイメージができなくなったりと、気になる部分は結構あります。

それでも最後まで読めたのは、キャラがいい味を出し、会話文や地の文にも独特の魅力があるからです。設定面も詰めの甘さは感じつつも、本作独自の設定は多く展開され、読み応えはあります。

全3巻ながら、1冊350ページ以上あるので、結構な分量です。また、空白も少ないのでページ数相当かそれ以上の文量があります。気軽に読める作品ではないし、気安くおすすめできる作品でもありませんが、気難しい作品ではありません。

作品データ

デュアル・イレイザー
折口良乃
黒銀
アスキー・メディアワークス 2012/5 ~ 全3巻
イラスト枚数 1巻15枚 2巻18枚 3巻13枚


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75

表紙と外部リンク

デュアル・イレイザー
2012年5月発売
デュアル・イレイザーII
2012年9月発売
デュアル・イレイザーIII
2013年4月発売

余談(ネタバレ注意)

多方向への余談となっています。本編の疑問とかもあるのでネタバレ注意です。

ロボット濃度判定表

判定方法に興味がない人は読み飛ばしてください。内容については次の項目から触れています。

まず、本作のロボット要素と、濃度判定表について。本作のロボット要素はバーチャルがメインとなります。バーチャル作品ではどのように判定表をつけるのが正解であるか自分自身明確ではありません。た一つの考え方として、今回付けたような判定方法で考えています。巨大の項目は主観が大事と書いていますよね。例えばモニター越しにロボットの戦闘シーンがいくら書かれてもこれで巨大の項目に○は付けませんが、あたかも実際に目の前で戦っているように書かれていたらこれは巨大に○を付けても違和感がないのではないでしょうか。小説だと文章なのでビジュアル的ではないので伝わりにくいですが、漫画であればバーコードファイターやブレイクエイジなどをイメージしてもらうとわかりやすいでしょうか。

搭乗の項目を今回×としました。これもあたかも乗っているように感じられるということで○でもいいのですが、×としました。曖昧で申し訳ないところですが、バーチャルであることに対する差別化という意味で、○ではなく、×を選びました。しかし、本当は△か○の方が適しているかも知れません。これは今後、同様の作品が合った場合に考えますので今後変わるかもしれないです。

そして、本作の3巻は実はバーチャルのロボではなく、ホビーロボットへとジャンル変更されます。本作の主題はバーチャルのロボということで、バーチャル部分に対して判定表を振りましたが、ホビーロボットが主軸であれば別の判定になります。今回はバーチャルに振ったということを理解していただければと思います。

設定面の疑問

トラウマの設定について。まずは、疑問よりは設定自体への不満を書きます。

負けたら死ぬはやりすぎだったと思う。2巻以降は死ぬという表現以外に廃人になる可能性があるという表現もされているのですが、最初から廃人になる可能性の方が納得できた。また、説明もおかしいです。開発者の娘であるのに、敗北時のエフェクトで錯覚するというのはどういうことなのでしょうか。普通に考えたら変更すればいいだけです。ブラックアウトなり、撃沈時に脱出パックで脱出するとか、いくらでもやりようがあります。そう考えると、負けることに対するトラウマ(催眠術)程度で良かったのではないでしょうか。その影響で負けた場合に精神がどうこうなら理解しやすかったし、死という単語は安直だったと思います。

そして、2巻ではエフェメラという新たなトラウマ持ちが出てきます。ここでまた新たな矛盾が生じることになるのですが、エフェメラは敗北しても大して影響を受けていません。そして、対戦中の回線切断もやっています。つまり、負けそうになった場合の回線の切断もOKということですよね。そもそも、エフェメラにはこの設定はいらなかったと思います。3巻では軽度であるかのように書くことでリカバリーしていますが、その程度のものであるならば最初から必要なかったような(カイも同じといえば同じだけど)。

本作のもう一つの設定の疑問はイレイザーそのものです。

玩具のイレイザーを通してコンピューターゲームを遊ぶというのはおかしくないし、類似した設定の作品があることからも受け入れやすい設定だと思います。問題は、玩具の方が動いたり、ダメージを負うことです。動く方は3巻で書かれたことへの伏線といったことでしょうが、ダメージを自らフィードバックするのはやりすぎだと思います。

2巻の幽霊騒ぎでは自壊することからも内部には相当なパワーを秘めています。外部からの圧力ではなく、内部からということは通常では考えられないほどのエネルギーが必要でしょう。ハッキリいって危険すぎる代物なので対象年齢も相当高くなるし、ちょっとディープに感じました。

もう一つ疑問だったのがリュストゥングMk-IIの壊れ方。幽霊相手であるのに自らとんでもない高さまで浮き上がって、落ちてぶっ壊れる。リュストゥングに飛ぶ機能はないのに浮き上がって落ちるのは普通に考えるとおかしいです。3巻でフィールド自体に仕掛けがあることが説明されるので、説明はできています。ただし、この説明が何故か3巻まで待たないとされませんでした。ネタバレを避けたのかも知れませんが、説明程度であればネタバレを避けても出来たと思います。不親切というか、後出しジャンケンされた感じがしてちょっと思うところがありました。

最後に玩具のイレイザーが戦うという設定自体も否定したいです。本文の方では殆ど触れておらず、設定自体がほぼ活きていません。ロボット要素の項目で本作はバーチャル部分がメインと書いたけど、それぐらいホビー部分の描写は希薄です(3巻は別ですが)。

重箱の隅をつつくような設定叩きになってしまいましたが、この辺は詰めの甘さを感じました。ただし、集中力を欠いて読んでしまった疑惑も自分の中にあるので、自分の受け取り方に多くの問題があったかもしれません。的はずれなことばかりでしたら申し訳ないです。

構成の疑問

刀雅を主人公とし、紀沙羅とペアを組ませることで、タイトルのデュアル・イレイザーとなるわけですが、3巻の最後では刀雅と桐也のW主人公でデュアル・イレイザーとなります。

おそらくだけど、この構想は1巻からあったと思います。1巻の段階では居なくてもよい桐也という人物を出し、多少ながら独自の動きをしていました。そして、2巻ではメインにつながるサブエピソードの主役を務め、3巻では晴れてもうひとりの主人公という立場に立ちます。

この設定は凄く良かった。1巻では刀雅視点が多すぎて、ページ数の割に広がりを感じなかったし、何度も書くようだけど刀雅の地の文はダラダラしすぎてメリハリが欠けていました。桐也の地の文は割と簡潔で、刀雅と違って思考の渦の中にいるので、共に考えることが出来ます。刀雅には感じなかった、小説の情緒というものが桐也の地の文には感じられるので、読みやすかったし、いつもの感覚で読めました。

また、似たような方向性を持ちながらも真逆というのが良かったので、もっと早く動かしても良かったのではないでしょうか。具体的にはエフェメラを1巻から登場させ、2巻の半分くらいは桐也のドラマチックストーリーにしてあげても良かったのではないでしょうか。そうすると3巻での展開もよりドラマチックになっていたと思います。ついでに、エフェメラのキャラ設定も違う方向性だと目立てたかな。役柄の割に印象がちょっと薄かった気がします。

その他細かい部分で

ラスボス版のグラン・ギニョルの形が文章だけではよくわからなかったです。アームというのも腕のことかと思ったら手は別にあるっぽいし、砲弾だとしてもよくわからんし、この辺は全然イメージができなかったので、文章でもう少し細かく書くか、イラストが欲しかった。ついでに、ラストバトル自体も盛り上がりに欠けた気がします。

リュストゥングの描写もよくわからないものだった。重装甲から軽装甲になるのは良いのだけど、足回りがどうなっていたのかとか、あと何故か腕が復活しているのかとか、その辺がよくわからなかったので装甲をパージした段階でもう一度状態を描写してほしかったです。

カイの処遇もどうなんだろうという感じです。これまでの非道の振る舞いに落とし前をつけるとしたら最後の寝返りだけでは足らないでしょう。1巻から通して鬱陶しい部分も多かったのでもうちょっと削らないと、爽やかすぎて逆に違和感があります。カイの記憶喪失は裏がある感じがして受け入れづらいです。もっと摩耗させてこそ受け入れられたと思います。本作は対象年齢が低めに設定されている感じがあるので、考えすぎな気もしますが。

そして、いちばん大事なことなんですが、岬と刀雅のフラグは無かったということでしょうか。パートナーは元に戻るけど、恋の三角関係でバチバチしつつの展開というのを期待していたので、全く無さそうだったのが残念です。1巻の元から知り合いという部分や、知り合う切っ掛けになった暴漢から守ったというのはフラグの一つだと思っていました。ツンデレ可愛かったので結構お気に入りでした。

まぁ、最後はどうでも良かったですね。叩くことを目的には書いていないので不快にさせてしまったら申し訳ないのですが、純粋な感想として受け取ってもらえたらと思います。酷評してしまった時に毎度書いていることですが、魅力がない作品は最後まで読むことが出来ません。伝えるのが下手なのでわかりやすく気になった部分を書いてますが、本作だけの魅力がありますのでそこは誤解なきようお願いします。

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