小説感想記1冊目
ある日、富士の裾野に落下した隕石は、内部に未知なる科学技術を満載したカプセルだった。あれから十年――隕石調査の研究都市内にある国際アカデミア学園・高等部。謎の教師、羽柴は、隕石のメッセージを解くてがかりを発見した。その実験の為、生徒会長、野球部のエース、現役バリバリのアイドルら、生徒8人をつれて隕石内部へと乗り込んでいった。その頃、衛星軌道上に円盤が現れ、謎の宇宙人が地球人類に宣戦布告をおこなっていた……。地球を守る巨大ロボット〈ガクセイバー〉登場!!【そでより引用】
登場人物
吉村学
国際アカデミア学園生徒会長、吉村学(ヨシムラ マナブ)(最上段左の黒髪)。主義主張の強い人間でもなく何をしたわけでもないが、人当たりの良さから生徒会長に選ばれる。親しくない人間からは日和見主義者と見られるが、追い込まれた状況になるとくだけた口調になり、普段からは想像できない決断力、行動力を示す。老舗和菓子屋、鳳来堂(ほうらいどう)の一人息子であることから、父親は後継者として期待するものの、本人は天文学者か宇宙飛行士になりたいと考える。部活も天文学部に所属。
安藤新菜
アカデミア学園の学生にして現役アイドル、安藤新菜(アンドウ ニイナ)。学園内での知名度も高く、ファン(取り巻き)も多い。あざとい振る舞いをするため、同姓のファンは少なく、搭乗者の一人で直言家の里美との相性も悪い。表には出さないが負けず嫌いで、同期のアイドルが自分より活躍していることに嫉妬する。新菜も本来はガクセイバー搭乗者の一人となるはずであったが、何故か新菜の乗り込んだユニットだけ起動しなかったため、事情を知っている部外者兼アイドルという複雑な立場になる。
羽柴当吉
アカデミア学園国語教師、羽柴当吉(ハシバ トウキチ)。35歳、独身。比較言語学を専門とした教師であるが、実際の授業内容は世界各地を旅した体験談を元にした自慢話。すこぶる評判は悪いものの、単位を簡単に取れるということで聴講票を出す学生は少なくない。国語教師の肩書だけでなく、電子工学の研究者という肩書きも持っており、自身が立てた仮説を証明するため、単位を餌に学生たちを巻き込み、ガクセイバーのパイロットにしてしまう。豪放磊落で楽天家な性格だが、学生たちの両親に事情を伝えに行ったあとは巻き込んでしまったことに少なからず後悔をした。
ワーキュリー
惑星プロキシマより現れた来寇者、ワーキュリー。地球及びガクセイバーに地球の占有権をかけた決闘を申し込む。戦うことに生きがいを見出す武人で、女心に疎く、副官のディオーラが寄せる好意に全く気が付かない。自信家の面を持ち合わすが、幾多の決闘に勝利してきた実績に裏付けられたものである。
ロボット要素
ガクセイバー
銀河連邦が送った決闘用兵器、ガクセイバー。起動前のガクセイバーはユニットと呼ばれる巨大なブロック状の物体でしかなく、8つのユニットに搭乗者が接触することで、変形合体し巨大ロボットの姿となる。地球の技術力では全長98mであること以外わからず、最初に起動させた学生たちにしか動かせない。操縦は間に合わせで付けられた操縦装置で行うが、装置本来の機能とは関係なく、搭乗者が求める機能に強制的に置き換えてしまう。武装は発見時に見当たらなかったため、製鉄会社ニュージャパン特注の斧と鉄球を用いいる。内蔵兵器はないと思われたが、学の無茶振りに応える形でバリヤーを発生。バリヤーは盾としてだけでなく攻撃用としても優秀で、相手装甲を吹き飛ばすだけの威力を持つ。ちなみに、本来の機体名は不明。搭乗者の一人である杉山高明(スギヤマ タカアキ)の、学生ばーっかりという発言から羽柴によりガクセイバーと名付けられる。
ガルレオン
暁の閃光の異名を取るプロキシマの征服機、ガルレオン。ガクセイバーより頭一つ分大きい黄金の巨人。武装は長尺の剣。長剣は接近戦に優れるだけでなく、ライトニングと呼ばれる強烈な衝撃波を飛ばせる。決闘用のマシンは手持ち以外の外付け兵器を許されておらず、手持ちの剣以外に内蔵兵器もないガルレオンは、ルール上の典型的な機体と言える。
イラスト
漫画版の作者でもある厦門潤さんの絵なので実家のような安心感があります。ちなみに、設定や物語は一部違います。
イラストの枚数自体も多く、魅せカット以外の日常カットも多いです。
ロボのイラストは少なめです。そもそも起動させるまでのてんやわんやが長いので、活躍自体も終盤なので仕方ないかな。
雑感
何を導入として本作に出会うかで評価がわかれる作品だと思われます。自分の場合であれば漫画が最初です。漫画版を読んだ上での感想になることを最初に断っておきます。漫画の感想も感想記として書いでるので、興味があればそちらをごらんください。漫画版以外は未だ未見です。
漫画感想記15冊目 『地球は狙われていた遙かなる昔から…遥か―太古とも呼べる昔から……』富士五湖研究都市、この地に隕石が降り注いだことが一つの契機であった。大気圏で燃え尽きなかった隕石、その正体は地球の科学では説明の出来ないブラックボックスの塊だったのだ。隕石の正体を解明するた...
期待以上の作品でした。物語としては導入部の事件しか扱っておらず、物語の線は伸びてません。本作の魅力は深さ。漫画版でもなんとなく感じていた部分でしたが、本作ではより掘り下げがなされ、読み進める毎に愛着、愛情を持ちます。
作者さんのあとがきにとてもしっくりくる(共感する?)文章があるので引用させてもらいます。「タイトルと設定は巨大ロボットアニメーションのようだけど、ガクセイバーの物語はそれをメインに置いてはいない。非日常に放り込まれながら日常を送る高校生たちの物語というものをやろうとはしたのだけど、うまくいったかなあ?」と、書かれています。これです。
今回触れた小説版は間違いなく、作者の意図した通りの日常が描かれています。漫画版では爽やかに描かれ、本作ではより深くに。ただ深くなるだけでなく、周りの視点を入れることで深みに嵌っていない。丁度よい読み味のバランスです。フィクションなので現実の高校生とは違います。でも、彼らの息遣いは聞こえました。
文章は難解な表現も少なく読みやすいです。ただし、時代が時代だけに表現の違いや死語の類がいくつかあるので、違和感は感じます。本作が92年発売の作品であることも含めて、違和感のある表現も併せて楽しめる1作だと思います。
作品データ
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返信削除すいません、どういった理由からでしょうか?
返信削除私は、天空戦記シュラトという作品の名前しか知りません。知らない作品だから読まないわけではありませんが、期待に添った内容を書けないと思われます。
わかりました。 謝罪いたします。
返信削除なにも怒っていませんので、謝罪はいりませんよ。期待に添えなくて申し訳ないです。
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