漫画感想記19冊目
占い好きの高校生・星野ひとみは、不思議なビジョンに導かれ、異世界・ファーネリア王国の神殿に秘蔵されていた聖宝石(エナジスト)の石柱に転移。人の精神が宿った聖宝石を原動力とする伝説の守護神・エスカフローネを動かすため、ひとみが選ばれたのだ。王位継承式典に突然現れた、巨大軍事国家・ザイバッハ帝国軍に、母・エスカリーナ王妃を連れ去られたバァン王子は、ひとみと共にエスカフローネを駆り、敵将ディランドーを追う。【2巻あらすじより引用】
登場人物
バァン
ファーネリア王国の王子、バァン・スランザール・デ・ファーネリア。通称バァン。成人の儀を当日とした日にザイバッハ帝国の侵攻に遭い故国を滅ぼされ、母親のエスカリーナ王妃も連れ去られてしまう。母親を連れ戻すため、エスカフローネに乗りザイバッハ帝国と戦う。無鉄砲で血の気が多い性格で未成熟な面が多く見られるが、様々な出来事を通して人間として成長してゆく。
星野ひとみ
地球人の16歳の少女、星野(ホシノ)ひとみ。占いが得意でよく当たること以外はごく普通の少女であったが、異世界の出来事を夢で見るようになった頃、夢で見た異世界、ガイアに召喚されてしまう。膨大なエネルギーを有するエナジスト(聖宝石)と呼ばれる物質を依代として召喚されたため、ガイアでのひとみの身体は血が通った人間のものではなく、エナジストの塊そのものとなってしまう。武術の心得はないが、身体の一部をエナジストに戻すことで放てる閃光が強力なため、戦闘時に大きな戦力となる。また、エスカフローネ搭乗時に特定の条件を満たすと外見は全くの別人へと変身してしまうなど、謎の多い身体となっている。
アレン・シェザール
アストリア王国天空騎士団団長、アレン・シェザール8世。アストリアとザイバッハの間には不可侵条約が結ばれているにも関わらず、バァンの境遇に同情しザイバッハと敵対する道を選ぶ。アストリア王女のミラーナとは婚約者の間柄であり、王からの信頼も厚かったが、独断でザイバッハと事を構えたことで立場を難しいものとしてしまう。学校の先輩にして憧れの対象である天野先輩に容姿が似ているため、ひとみからは好意的な目で見られる。
ディランドー・アルバタウ
ザイバッハ帝国の鉄鬼兵(デビルマシン)指揮官、ディランドー・アルバタウ。ファーネリア出身で、幼き頃に聴いた美しき歌声の持ち主であるエスカリーナ王妃に固執し、ファーネリアを滅ぼした折に王妃を誘拐する。幼いころに母親を殺めた反動で精神的に不安定となり、非のない部下を手に掛けるなど攻撃的衝動が強く出てしまい、残虐性が目立つ。
ロボット要素
エスカフローネ
ファーネリアの守護神、エスカフローネ。エナジストが原動力のため、ひとみの身体を起動の鍵として必要とする。起動後はひとみと感覚を共有しており、エスカフローネのダメージがひとみにフィードバックされてしまう。固定武装がなく、肉弾戦以外の戦闘方法を持ち合わせていないが、ひとみの変身後は両掌からエナジストの閃光を放つことが可能となる。気密性が確保された機体のため、水中での活動も可能であり、変形すること無く高速飛行も可能なため、環境を選ばずに戦える。
シェラザード
アレンの鉄騎士(ナイトマシン)、シェラザード。一見固定武装は無いように見えるが、両腕の袖口部分にジャマダハルのような短い刺突武器が隠されている。必殺技は両肩の突端から放つ電撃。エスカフローネ同様単独飛行可能であるが、シェラザードが特別なわけではなく、鉄騎士は単独飛行が可能である。
ディランドー機
ディランドー機(正式名称不明)。ザイバッハ帝国の量産型鉄鬼兵(デビルマシン)をディランドー用にカスタムした機体で、見た目からして元の機体とは大きく異なる。両手の爪に当たる部分は伸縮性と殺傷力に優れた刺突兵器で、背面に装備したマントはステルス機能を有する。
炎の騎士
ザイバッハの鉄騎士、炎の騎士(正式名称かは不明)。戦闘中は両肩と両手部分から炎が常に噴き出す。噴き出した炎を纏った肉弾戦を得意とし、攻防どちらにも優れる。両手の噴出口から炎を渦状に噴出して攻撃することで遠距離戦にも対応する。その強さは帝国最強とも言われ、一日にして3つの都市を制圧した。
作画
作画の特徴としては女性の艶っぽさが第一に挙げられます。線の多い絵柄ながらとげとげとした印象はなく、柔らかさであったり微妙な丸みが艶っぽく感じる要因かと思います。ちなみに画像の女性がひとみの変身後です。
ロボットの作画も線が多く、画面内の情報量が多めです。人物と違ってこちらは柔らかさはなく鋭さが感じられる作画で、ロボットの形含めてしっかり描かれています。ちなみにアニメ版とはデザインがほぼ別物で、一部に共通点がある程度です。
背景もかなり凝っています。アニメの方は中世的なファンタジーSF作品でしたが、本作はゲーム的なファンタジーSF作品です。メカだけでなく魔物だったりも出てきます。そういった部分がしっかりと絵で表現されており、作画の満足度はかなり高めです。
雑感
アニメ版を見ていますのでそのあたりを踏まえて感想を書いていきます。
まず、漫画版とアニメはタイトルや登場人物は共通していながらもほぼ別物です。導入の部分こそ似たような印象を受けますが、物語が進むに連れ、全く別の作品へと変化していきます。アニメの焼き直しというわけではなく、アニメを見た人でも新鮮に楽しめる作りとなっていますが、同時にアニメの雰囲気を知る目的でのつまみ食いや、アニメが好きで漫画でも同じように楽しみたいと思う人にとっては残念な作りとなっています。
アニメのイメージを持って読むと凄く損をする作品です。冒頭から数話(2巻途中まで)はキャラの性格ではなく物語(作者)の都合でキャラを動かしているのが見えてしまう残念な作りなので、アニメ未視聴既視聴関係なく苦痛に感じる部分ですが、特にアニメに特別な思い入れを持って本作を読み始めたのだとしたらそこで投げ出しかねません。しかし、その最初の苦痛さえ乗り越えれば後は純粋に楽しめる作りで、アニメとは全く別の確かな面白さがあります。
アニメとの毛色の違いだけでなく2巻途中までの丁寧な作りとはいえない構成など、第一印象は良くない作品ですが、最後まで読み終えた印象は全く別のものです。これはこれで一つのエスカフローネだといえる作品です。メディアミックス作品というと、原作となった作品を知らないと楽しみきれない面もありますが、本作に限っては知らない方が楽しめる、楽しみやすい作品といえる珍しい作品だと思います。全8巻と中々の読み応え且つ丁度いい手頃さの作品なので、興味があれば読んでみてください。
作品データ
○
○
○
○
○
◎
100
0件のコメント