漫画感想記5冊目
1970年東京――派出所に勤める御崎巡査は1人の赤子を拾う。少女はヒロシと名付けられ御崎巡査の養女として、普通の子として育てられる――この物語は彼女が17歳を過ぎたときから始まる。1985年東京――地中からタケノコのように突如として現れた機械のタワー。タワーが現れることと前後してヒロシは謎の声が聞こえるようになっていた。謎の声はヒロシが未来人であること、タワーはヒロシが持っているメモリーチップを狙う革命軍のものであること、そしてチップを守りきらねば未来の平和が壊されてしまうことを告げる。未来を守るために未来より送られた現代に生きる少女の戦いが始まる。【作中の文章を引用して制作】
登場人物
御崎ヒロシ
17歳の女子高生、御崎(ミサキ)ヒロシ。1、2歳時に交番の裏口で発見された捨て子。現在の両親は発見者の御崎巡査とその夫であるが、捨て子であることを本人は知らなかった(おそらく)。現在の親が本当の親でないことと、この時代の人間でないことを知った後にサイキック能力が身につく。生まれや境遇は複雑であるがスレた様子は無く、至って前向きな性格。
北住アキラ
発明同好会に所属する好奇心旺盛な少年、北住アキラ。ヒロシと仲が良く、共にいることが多いので事件に巻き込まれる。危険な目にも遭うが、その後もヒロシへの協力的な姿勢は変わらない。ヒロシと付き合っているわけではないものの、少なくともお互いに好意は持っている模様。
ヴォルガ
革命軍のリーダーであるサーマンの側近、ヴォルガ。未来都市エンパラガーデンから現代の前線へと指示をし、ヒロシの持つ国家機密が保存されているメモリーチップを狙う。
ロボット要素
オーファン
ガーディアンオーガンコミュニケーター、オーファン。ヒロシを守るために未来より共に送られてきた。発明同好会が管理する地下倉庫にコックピットだけが露出する形で眠っていたが、ヒロシと接触したことで動き出す。武装は頭部両側面に2門ずつ備え付けられた機関砲、頭部中央部のエネルギー砲、掌底部分のエネルギー兵器などがある。オーファン固有の能力ではないと思うが、空間転移することも可能。自我に近い高度なAIを搭載しており、ヒロシの操縦及び命令がなくとも独自の判断で行動をとる。
プロトI レトラ・アークス
プロトI レトラ・アークス。ヒロシが搭乗したオーファンの前に最初に立ちふさがる革命軍の機体。主武装は両肩に装備されたマイクロバスター。接近時には胸部のクローを展開し敵を捕らえる。
余談。無人捕獲メカと紹介されているものの、パイロットが搭乗していると思われる描写がされている。 もしくは遠隔操作なのかもしれないが、パイロットが実にハイテンションなので妙にひっかかる。
プロトII
プロトII。対エスパー用の無人迎撃メカ。総合性能でオーファンを大きく上回るようだが詳細は不明。作中ではシールドリキットタイプの武装(鳥黐みたいなもの)が使われたのみで、その他の武装は不明。また、名称のプロトIIであるがプロトIとの関係性は不明であり、プロトIIが正式名称であるかも不明(他にも可変戦闘機のプロトIIIも登場する)。
作画
人物に関しては簡素。派手さもなく時にギャグ調に崩したりとしていますが一貫して読みやすいです。
ロボに関しては緻密。非常に細かい書き込みがされており、全てのディテールを追おうとすると非常に時間がかかること間違い無しです。動きのあるタイプの絵ではなく一枚絵のタイプ。
細かい書き込みがされているのはロボだけでなく、メカ全般。今回未紹介の戦艦(巨大都市)なども非常に細かく書き込まれています。
雑感
85年のSF作品とのことで時代特有のノリがあります。ギャグとシリアスの緩急が強いので、身構えて読むには軽さが目立つし、気を抜きすぎると物語が楽しめません。
現在読むとノリの難しさはあると思いますが、本作は設定が独りよがりに走ったりしていないし、特別難しい設定があるわけでも設定が軽すぎるわけでもないので、読みやすさと読み応えのバランスは良いです。全200p程とコンパクトで、しっかりと完結もしていることも高ポイントです。
メカ作画の濃さを別とすれば全体的にさっぱりとした作品です。強烈なインパクトはないし、引っかかるようなこともないので、長文の感想を書くタイプの作品ではないです。本作は無料で公開されており、様々な意味で気軽に読めるので、各自で感想を抱いていただければと思います。
作品データ
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