サイレン戦士

漫画感想記26冊目

海洋惑星サイレンは滅亡の危機に瀕していた。海のある星を求めて……。たどり着いた星は太陽系第三惑星、地球。サイレンの地球攻略が始まる。海戦士ミランジュは、そこで地球の青年ヒユウに出会う。 【1巻そでより引用】

登場人物

海神飛勇

海を愛する少年、海神飛勇(ワダツミ ヒユウ)。海上防衛軍の一佐であった父親は護衛艦しきしまの艦長を務め、宇宙人襲来による最初の被害者になってしまう。海と海に住む生物を愛しており、海に武力を持ち込む父親や叔父の竜博士に反発していたが、海を荒らし地球人を無差別に虐殺する宇宙人に対し怒りを覚え、海底戦士として戦うことを決める。

海神竜

海洋科学研究所の博士、海神竜(ワダツミ リュウ)。海洋開発を名目に水中兵器を多数開発し、そのパイロットとしてヒユウをスカウトする。宇宙人に抵抗するため海底戦隊を組織する。

ミランジュ

サイレンの一級戦士、ミランジュ。親はサイレンの名将と謳われるゼラン。サイレンの人類は両生体の海棲人で、水温40度の海水中で産卵を経て子育てを行い、成体になると陸上で生活を送るようになる。互いに好意を持つ相手と出会うと雌雄のいずれかに変化するが、ミランジュは変化前であるため男女のどちらにも属さない。滅びゆく哀れな地球人を見るためマイクロ翻訳機を片手に地球人に接触を図り、恐慌に侵される地球人の生々しさに触れたことで自らの行いに恐怖し、戦車にはねられそうなところをヒユウに助けられる。その後、自らの身体が女に変化したことで、自らの想いとヒユウの想いに気付く。

ゼラン

サイレンの名将、ゼラン。内乱により皇位簒奪を狙うスパローへの警戒から、高速潜闘艇とバトルムーバーを中心とした装甲戦士団を密かに配備し、友人のガルゲードを皇位に就けることに成功する。サイレン星は彗星の衝突で滅亡することが定まり、運命を覆すためサイレン人20億人の移住を決断。海のある恒星、地球を発見し、侵攻の急先鋒となる。

ロボット要素

装甲耐圧服

竜博士が作りあげた、装甲耐圧服。概念としてはパワードスーツに属する。武装は手持ちの銃、背部に積載される有線式のコントロールミサイルなど。海底開発を名目に深度2000mの水圧の中でも自由に動けるよう開発されたが、多数の武器を搭載する新世代の兵器へと変貌する。当初は試作型として戦線に投入され、敵兵器のバトルムーバーを鹵獲したことで一層の性能の向上が図られる。ヒユウの扱う装甲耐圧服以外にも細部の異なる量産型が大量に生産される。

バトルムーバー

ゼラン肝いりの新兵器、バトルムーバー。脚底に搭載されたジェット噴流で海中を自由自在に動き回り、海中より進軍して海上の戦艦を狙い撃つ。装甲は薄く通常兵器の魚雷でも撃墜されてしまうが、機動力と火力には優れる。頭部の形状が異なる同型機が多数存在し、接近専用のサーベルを装備する機体も存在する。海上はビーム砲台網が防衛し、バトルムーバーは海中の防衛を受け持つ。

超高速宇宙船

超高速宇宙船、移住惑星探査要塞都市型宇宙艦。彗星の衝突によるサイレン滅亡まで21年の猶予の中、クゥ・ミーム技師将を中心とし、滅亡まで2年に迫った頃に超高速宇宙船と物質転送機を完成させる。これらの超兵器は海法士の存在が重要となり、海法士の精神理力を結合させることで、H・D(超空間飛行)と物質転送を行う。移住可能な星を見つけるため、12人の海法士と12隻の要塞都市型宇宙艦を宇宙に放ち、ゼランは12番艦となるマムートを旗艦とし、強力な精神理力の持ち主である海法官のジールが結合者(リンカー)として乗り込む。多くの船が通信を途絶する中、およそ1年が経った頃に移住可能な海を持つ星、地球を見つける。地球の水温はサイレン人に適さないため、海水の温度を上げる熱拡散炉を大量に投下。劇的に温度を上げることで地球をサイレン人が住める環境へと変え、20億人のサイレン人を受け入れるため、地球人の虐殺を行う。

作画

導入部は金髪でキラキラ系の顔付きをした人物ばかりが登場して判別しにくいので、髪型まで注視して読む必要があります。導入部を過ぎると髪色や顔付きの違うキャラが多くなるので最初だけの問題です。

メカのデザインはシンプルで派手な構図もありませんが、基本的な質が高いので読む分には全く問題ありません。

ロボの他にも多くの戦艦やミサイルなどが登場し、それらメカ類の描写は緻密で迫力に溢れています。

雑感

全2巻と短いながらかなり濃密な作品です。頭の先から尻尾まで物語が動き続け、駆け抜けるようにエンディングへと向かいます。物語の主軸は地球対異星人でありますが、地球人の男と異星人の女というある種のお約束的な恋物語も重要な要素となっています。この恋物語が物語全体に与える影響というのが強く、先が読めないため惹かれる要素になり、作品のスピード感をより高めています。

本作に軽さは全く無く、徹頭徹尾容赦がないので、スピード感がある割に重く感じます。ある種のお約束という言葉を使いましたが、お約束だと思って読むような作品ではなく、緊張感を持って読む作品です。

80年代の作品ということで設定面の目新しさをそれほど感じることはありませんが、設定と物語のシンクロ率の高さからかなりの読み応えです。敢えて残念な点をあげるとしたらその後がもう1話あったらより別の面が見えたと思つものの、純粋にまとまりが良く、完成度の高い作品でした。

作品データ

サイレン戦士
ひおあきら
朝日ソノラマ サンコミックス 1982/3 ~ 全2巻







100

表紙と外部リンク

サイレン戦士 1
1982年3月発売
サイレン戦士 2
1982年5月発売
0件のコメント
コメントを書く