スーパーロボット大戦OGサーガ 龍虎王伝奇 完結編

漫画感想記25.5冊目

古代中国に伝わる伝説の巨大な機械人形「超機人」……人知を超えた力を持つ超機人を巡る戦いは、明治時代・日清戦争前夜の清国・蚩尤塚を皮切りに、第二次世界大戦の緊張が高まる昭和へと時代を超えて続いていた。超機人を狙う謎の結社「バラル」に両親を殺された蚩尤塚を護る一族の少女・飛麗(フェイリー)は、バラルと戦う世界的組織「オーダー」と出会う。バラルに愛する者や故郷を奪われた者達が集うオーダーに飛麗も加わり、鋼機人「轟龍」のパイロットとして、バラルが送り出す妖機人との戦いに身を投じていく。両者が探り出そうとしている「バラルの門」とはいかなるものか? オーダーの母艦・魁龍を指揮する艦長の正体は? そして龍虎王の目覚めの時は訪れるのか……。【巻4p CONTENTSより引用】

登場人物

飛麗

蚩尤塚の守人の一族、飛麗(フェイリー)。剣術を得意とし身軽さに優れる女性。過去に示現流の使い手である虎太郎という人物に剣術を習い、飛麗も示現流の使い手になる。バラルの蚩尤塚襲撃によって両親を殺され、上海に避難し龍刀娘(ロンタオニャン)という名前で命と金を賭けた決闘に明け暮れるが、バラルの追手に居場所を嗅ぎつけられてしまう。窮地のところを飛麗のスカウトに来たエドワードに助けられ、両親の仇を討つためエドワードの所属する組織、オーダーへの加入を決める。オーダーでは鋼機人(ヒューマシン)、轟竜の操縦者を任される。龍と虎の怪物を目覚めさせ、両親が殺される切っ掛けになった祖父と祖母を憎む。

エドワード・グリムズ

バラルと戦う超国家組織、オーダーの一員、エドワード・グリムズ。オーダーの面々からは親しみと敬意を込めて男爵(バロン)の名で呼ばれ、鋼機人、雷虎(らいこ)の操縦者を務める。優れた鋼機人乗りであるため、性能面で大きく劣る鋼機人で超機人を相手に奮戦する。

稲郷涼夜

示現流の使い手、稲郷涼夜(トウゴウ スズヤ)。稲郷隆馬(トウゴウ リュウマ)の弟の娘で、隆馬からみて姪にあたる。実家は示現流の道場を営み、剣の腕前は飛麗以上。当初は轟龍の操縦者になる予定であったが、艦長の意向で鋼機人、光雀'(こうじゃく)の操縦者となる。視野が広く判断も的確なため、空を飛べる光雀に乗り前線から指示を出す。エドワードに敬意だけでなく好意を寄せる。

光徳美曜

謎の少女、光徳美曜(ゴウトク ミヨ)。予知、機霊符の調整、魁龍の防御壁など役割は多岐にわたるオーダーの中心人物。中心人物であるが美曜の姿を直接見せたものは少ない。虎王機の操縦者であり、先代の操縦者と違い強念を持ちあわせる。

孫光龍

バラルの首領、孫光龍(ソン ガンロン)。世界中に妖機人(デモン)を放ち混乱に陥れ、オーダーの母艦魁龍にも多数の妖機人を差し向ける。四仙と呼ばれる特別な仙人を手駒にするだけでなく、仙人に作られた仙人、地機仙と呼ばれる存在も配下に置く。

ロボット要素

轟龍

鋼機人(ヒューマシン)、轟龍(ごうりゅう)。鋼機人はバラルの妖機人(デモン)に対抗するためオーダーによって作られた。バラル側では鋼機人を偽機人(ぎきじん)の名称で呼ぶ。鋼機人の稼働のためには胸部の主機炉に妖機人から取り出した機珠を入れる必要がある。機珠は機霊符で覆われ、主機炉に入れる際に符を外す。稼働時間に制限があり、おおむね8分から9分しか保証されず、時間を過ぎると妖機人化(デモライズ)する危険性をはらむ。時間を超過せずとも妖機人化する危険性があるなど、機珠の完全制御には至っていない。妖機人の機珠を搭載するため、鋼機人にも超機人ほどではないが自我、魂を持ちあわせる。操縦は思念式。轟龍は海中戦を得意とした唯一の鋼機人。武装は遠距離戦を想定した構成であるものの、尾部に接続している気動砲は未完成のため使用不可能。近距離専用の武装もなく、剣術が得意な飛麗が操縦者となったため九六式斬機刀、通称獅子王が与えられる。

雷虎

エドワードが乗る鋼機人、雷虎(らいこ)。格闘戦と陸上での戦いを得意とした鋼機人。肘から先は鎖で繋がれており螺旋を描くように前腕を飛ばせる。必殺技は打撃の連続、暴虎乱撃。雷の名を冠するためか発電機と蓄電池が搭載されているが、雷虎に限定されたものかは不明。

光雀

涼夜が乗る鋼機人、光雀(こうじゃく)。飛行可能な唯一の鋼機人であるが製造コストが高く、光雀ではなく雷虎や轟龍を二機作ることも提案されるも、飛行可能であることを重視され製造される。武装は両腕各一門の砲と機体下部に取り付けられた80ミリ気弾砲。人型形態に変形可能であり、人型形態に移行すると80ミリ気弾砲を剣のように構え、振り抜く力を弾丸の加速に利用し威力を増加させる。優れた鋼機人であるが、機炉の不調から不安定な面を見せる。

魁龍

オーダーの母艦、魁龍(かいりゅう)。人類の作りうる最新最強の戦闘母艦。バラル打倒のため、因縁のあるブランシュタイン家、グリムズ家、稲郷家に連なるものがクルーの多くを占める。副長は軍人の名門ブランシュタイン家のクラウス。艦長はこの世で最も重いバラルとの宿命を背負うとされる人物。主な武装は主砲。主砲は魂砲弾の呪縛撃という特殊なもの。魁龍の後方は死角のため、強力な砲門を持つ鋼機人の嵐武(らんぶ)を置くことでカバーする。魁龍は轟龍、雷虎、光雀、嵐武といった鋼機人を搭載するというだけでなく、艦深くには眠りについた龍虎王が存在する。

鯀王

四罪の超機人、鯀王(こんおう)。四罪は四凶と並ぶ暴虐の魔神とされ、超機人としての位は四神を上回る。四凶は操者を喰らい、四罪は機人を喰らってしまい、敵味方の概念もないため、四罪と四凶の超機人は一体ずつしか戦場に出せない。四仙の一人、北仙の泰北(たいほう)は孫光龍に四凶、四罪のうち好きな超機人を連れて行くよう言われ、鯀王をオーダーに向けて繰り出す。攻撃方法は異形の怪物を多数飛ばすもので、鋼機人の装甲も喰らってしまう。

霊亀皇

孫光龍が操る四霊の超機人、霊亀皇(れいきおう)。四霊は最高位に位置する超機人。不可視の結界に覆われているため普段は目視することも出来ないが、実体は一つの島と錯覚するほどの大きさを誇る。バラルの門の守護者とされ、森羅万象甲はあらゆる攻撃を防ぎ、飲み込み、消滅させる。

作画

前作から時間が空いたため顔の書き方(特に女性の)が変わっている感じがします。全体的に柔らかくなり、丸顔に見えるカットや、可愛く見えるカットが増えています。

メカの作画は相変わらず迫力が凄いです。線の多いデザインながらアクションシーン山盛りで、改めて質の高さを感じます。

しかし、前作と比べるとだいぶごちゃついています。原因の一つは敵デザインだと思われます。より生物的だったり怪物的な感じが強くなっているので、画面がかなりうるさいです。注意深く読まないと理解が追いつかないかもしれません。

雑感

前作の(無印)龍虎王伝奇については下の感想記で触れています。今回は完結編と前作に3話まで描かれた第二部を中心に書いてます。

超機人 龍虎王伝奇

時は日本と清国の間に緊張の高まる明治時代。古代中国の伝説に伝わる巨大な機械人形……「超機人」の噂を調べるべく、清国へ渡った大日本帝国陸軍軍人・稲郷隆馬は、実在した超機人を巡る人智を超えた戦いへと巻き込まれていく…

良くも悪くもスパロボ感満載の作品でした。前作は独り立ちしている部分もありましたが、本作はゲームをやっていないと付いていくのが難しい内容になっています。

これは実はスパロボシリーズ自体に感じていた不満点でもありますが、単独の作品としてみると思わせぶりな作りになり過ぎています。本作単体で見ると伏線の山に本線(本筋の物語)が埋もれてしまい、本線の魅力が損なわれてしまっています。比較的綺麗な終わり方をしているものの、スッキリした気持ちよりもやもやした気持ちの方が強いです。

しかし、これがスパロボOGサーガの一部としてみれば悪くありません。作画の質も高いし、熱量もある。物語は熱く、手抜きだと感じる部分はありません。伏線の配置だって後に消化されると思えば悪くないです。

ただ、本作には独り立ちできるだけの力があるように思えていたので、そうして欲しかったという個人的な好みの話です。OGシリーズのファンにはマストな作品であることは間違いなく、シリーズを知らない人には敷居の高い作品と言えるでしょう。

作品データ

スーパーロボット大戦OGサーガ 龍虎王伝奇 完結編
富士原昌幸
KADOKAWA 電撃コミックスNEXT 2017/3 全1巻
超機人 龍虎王伝奇(スーパーロボット大戦OGサーガ 龍虎王伝奇)の直接の続編







100

表紙と外部リンク

スーパーロボット大戦OGサーガ 龍虎王伝奇 完結編
2017年3月発売
0件のコメント
コメントを書く