グリモワールの契約者

小説感想記7冊目

ごく平凡な高校生・鳴谷創也(なるがみそうや)が出会った少女リゼットは、異世界イルヴァリースについて記された《魔法書(グリモア)》を使う召喚士だった。彼女の仕事は、事故で町中にばらまかれてしまった《魔法書》を回収する事。だがリゼットは《魔法書》から開放された怪物《地鮫(アースシャーク)》に不意を突かれ、倒れてしまった。創也はリゼットを救うため、彼女の《魔法書》の魔神、《終焉の騎士(ナイト・オブ・アビス)》アルヴァレスと契約を交わしてしまう。二重契約された《魔法書》は、リゼットと創也が揃わなければ召喚出来ない。かくして創也はリゼットと共に《魔法書》の回収をするハメになるのだが……。【1巻そでより引用】

登場人物

鳴谷創也


15歳の高校1年生、鳴谷創也(ナルタニ ソウヤ)。身長は高く、体格にも恵まれている。普通の学生でしかなかったが、地鮫(アースシャーク)に襲われて気絶したリゼットを助けるため、魔法書の魔神、アルヴァレスと契約をする。二重契約になってしまったことで創也とリゼットの二人が揃わなければアルヴァレスを召喚できなくなり、リゼットの所属する組織、蔵書殿(ぞうしょでん)にスカウトされる。母親の影響でプロレスが好きで、戦闘ではプロレス技を使いこなし、会話では飛龍革命ネタを自然と使う。田舎からの上京であるため一人暮らしをしていたが、アルヴァレスと契約後は財政面と効率面を考え、リゼットの豪邸に居候の身となる。頭が悪く、特に科学と数学は壊滅的で0点を叩き出す。家事は得意としており、母親に都合良く使われていたので、料理の腕前はかなりのものである。バイト先では子猫にエリザベートと名付けて餌付けをし、リゼット家に居候するようになってからは共に暮らすようになる。

余談。あらすじでは名字の鳴谷に「なるがみ」とルビを振っていますが、本文のルビは「なるたに」です。多分「なるたに」が正しい読み方でしょう。

リゼット・ミュレーズ


ミュレーズ家の魔女、リゼット・ミュレーズ。見た目は中学生だが、15歳の高校1年生である。フランス人の父親と日本人の母親のハーフで、蜂蜜色の髪と綺麗な猫目の整った顔からフランス人形に凖えられる。容姿に反して口が悪く、足癖が悪く、大食らいである。その様から暴れ獅子とも渾名され、肉弾戦になると延髄斬りを繰り出す。創也とは別の超有名お嬢様学校の生徒であるが、放課後は創也のクラスである一年四組に顔を出し、クラスの女子からお菓子で餌付けをされている。高校生の学習過程修了レベルにあるほど頭は良いが、お嬢様のお約束として料理の腕前は壊滅的。

魔法書を管理する最大の組織、蔵書殿に所属しており、花観月曜子(ハナミヅキ ヨウコ)が指揮する、ドミナスフラワーのメンバーとして新涼市に散らばった魔法書を回収する。7年前に魔法書の暴走で両親を亡くしており、名家であるミュレーズ家の次期当主となることが決まっている。ミュレーズ家は片目の獅子を家紋とし、祖父のアルフォンス・ミュレーズは赤眼の獅子(レッドライオン)と呼ばれ、次期ミュレーズ家当主のリゼットは獅子の後継者(ハート・オブ・ライオン)と渾名される。アルヴァレスの召喚だけでなく、多くの魔法書を使いこなす優秀な魔法書使い(グリモアサモナー)である。魔法書を操る魔法を召喚術といい、魔法書使いという呼び名とは別に召喚士とも呼ばれる。召喚を行うためには魔法書の精読が必要なだけでなく、生まれ持った才能も重要になる。

鷺坂美玲


有力財閥である鷺坂財閥の御令嬢、鷺坂美玲(サギサカ ミレイ)。通称はミレイ。蔵書殿の召喚士チーム、ドミナスフラワーの一員。銀色の髪と青い瞳を持つ特異な容姿は気味悪がられることもあるが、チームメイトの創也には綺麗と褒められる。祖母は銀髪鬼と呼ばれた有名な召喚士で、祖母の容姿と能力を隔世遺伝で色濃く現すことから、ミレイは銀妖狐と渾名される。魔法書を特殊使用する暗号詩(リリクスコード)は、祖母とその教えを受けたミレイにしか扱えない。ミレイの祖母とリゼットの祖父はライバルであり、リゼットとは世代を跨いでの因縁の仲にある。

ジョゼフ・ミュレーズ


リゼットの叔父、ジョゼフ・ミュレーズ。190cm近い長身で金髪の20代前半の青年。リゼットから見て父親の弟という間柄に辺り、7年前の事故では窮地の状況からリゼットを救い出す。蔵書殿では決定を下す執行部に所属し、将来の幹部候補と目されているが、現在は下っ端として仕事に駆け回る。三枚目な役回りを演じることが多いが、優秀な召喚士である。

ロボット要素

アルヴァレス


魔法書世界イルヴァリースより召喚される、終焉の騎士(ナイト・オブ・アビス)、アルヴァレス。通称はアルヴァ。契約者はリゼットと創也。魔神の中でも最強と目される、アルマレクスシリーズの第3位に位置する。自我を持ち、騎士然とした性格をした常識人で、暴走しがちなリゼットを嗜める事も多い。300年もの間ミュレーズ家代々の当主と契約を交わし続けていたため、創也との契約は前代未聞の出来事であった。リゼットと創也の二重契約をしたことで二人が揃わないと召喚出来なくなったが、精神の供給元が2人になったことで活動可能時間は大きく伸びている。アルマレクスシリーズの中では、超至近距離では最速を誇る。本来は剣を主武器とするが、ページの欠落により剣を失っており、現在は素手か、武器を奪うか借りるかでの戦闘となる。必殺技は零距離縛封陣・震空結界 征・討・斬。不評な技名であるが、名付けたリゼットはご満悦。各魔神固有の超異能力(ブレイズスキル)は収縮空間。空間の収縮を利用した空間爆震、直線距離を短くする短縮移動(ショートジャンプ)、空間の盾を作る、といったように使う。また、超異能力は契約者にも付与されており、リゼットと創也にも扱うことができる。

魔法書はこれまでに18000冊の存在が確認されているが、魔神の魔法書は現在までに74冊しか発見されていない。魔神は魔法書の中では特別な書に属している。契約さえ結んでしまえば精読を必要とせず、自由に力を行使(召喚)できるようになるが、契約者の生命力が燃料であるため、契約者の精神状態によって力は大きな影響を受ける。魔神と一度契約を交わすと、おおよそ1ヶ月の期間を置かないと契約の解除が出来ない。魔神の体は魔法書の文字(スペル)で構築されており、跡形もなく滅ぼされた場合は復活に人の一生よりも長い年月を必要とする。

ネルヴァル


神造の機兵(マキナ・エクス・デオ)、ネルヴァル。アルマレクスシリーズ第6位に位置する。契約者はミレイ。20ミリ・ガトリング・ポッド(ファランクスランチャー)、マイクロミサイル、電磁加速砲(レールガン)、回転衝角(ドリルラム)、杭打ち機(パイルストライカー)、などなど百種の兵装を使いこなす。射撃用武器を多く扱うが、接近戦も得意としている。武装は通常装備ではなく、必要に応じて召喚転送という形をとっている。普段は論理自戒士(レックナー)モードという落ち着いた人格を感じさせるモードだが、破壊偏執狂(パラノイド・アンドロイド)モードになると破壊の権化と化し、契約者の生命力を吸い尽くすまで暴れる極端な二つの貌(モード)を併せ持つ。超異能力はあらゆるセンサーを無効化するステルス機能、絶対迷彩。ミレイにかかる負担が大きいため運用は短時間に限定される。隙の少ない性格、性能であるが、念波の扱いは苦手としており、指向性を持たせて会話をしているつもりが筒抜けになっていることもある。

グノー


黒威の獣兵(マスタービースト)、グノー。アルマレクスシリーズの第7位に位置する。契約者はジョゼフ。アルマレクスシリーズの中で、俊敏性は最速を誇る。二振りの曲刀を扱い、素早さを活かして四方八方から斬撃を浴びせる、嵐刀(らんとう)を必殺技とする。通常召喚とは別の状態である、化身(アバター)の状態では猫の姿になるが、本人曰く黒豹とのこと。また、口と性格が悪く、捻くれ気味の魔神でもある。超異能力は肉体の一部を任意の形に変える、獣化変身。

余談であるが、アルマレクスシリーズは全部で10体(冊)。戦王(キング)、剣妃(クイーン)、騎士(ナイト)、司祭(プリースト)、術士(ウィザード)、機兵(マシン)、獣兵(ビースト)、巨象(エレファント)、軍馬(ホース)、歩兵(ポーン)とある。これら10体を駒に模した、アルマレクスというチェスのようなゲームも存在している

イラスト


現代的で綺麗な絵柄です。可愛い女の子がいっぱい出てくる系の作品で、イラストがより可愛さを惹き立てて魅力的なものにしています。


バトル物とあって戦闘場面も多くありますが、戦闘場面でも見劣りはせず、チープに感じるものではないです。


本作は口絵にカラーイラストが多く使われています。枚数、質、共によく、かなり楽しめるものです。ただし、メカイラストはカラー、モノクロともに少なめですので割り切ってください。

雑感

ここまで小説の感想記で扱ってきた作品はジャンル的にはライトノベルだけど、軽い読み味の作品というのはそれほどあリませんでした。その中で本作は軽い。所謂カルチャーギャップを味わいながらの読み始めとなりました。

ただ、読み進めていくと、本作は軽いだけでなくしっかりとした作品であることもわかってきます。地の文が軽めの印象であることは変わりませんが、設定だったり、物語だったりはしっかりと作られていて読み応えを感じます。

そして、1巻と2巻で印象が大きく違います。1巻は不安定な作品で、2巻はまとまった作品です。このように書くと2巻の方が面白かったと思われるでしょうが、実際にどちらが優れているとは断言できません。1巻は不安定な部分に魅力があって面白かったし、2巻はかっちりしている部分に読み応えがありました。ただし、2巻はちょっと読み疲れを感じる作品でもあって、1巻の方がさらりと読めて好印象だったりします。

具体的には2巻は内容の割に文字が多いです。主因となっているのは自分語りの部分です。内面というよりは自分語りが要所要所に入ってくるので、テンポがちょっと悪くなっています。言葉のチョイスや表現は間違いなく2巻の方が上です。綺麗な表現が多くてイメージしやすかったです。2巻はもっと物語を詰め込めていたらより良かったと思います。

総括としては、全2巻で終わってしまっているのが勿体無い作品です。結構しっかりしているし、十分に広がりを感じさせる世界観だけに、もっと彫り込んだ部分が読みたかったです。伏線も結構残っているので、綺麗には区切られていない未完作品と言えるでしょう。一応、1巻毎に一つのエピソードが区切られているので十分楽しめるものだとは思います。

読む上での注意点は、最初の50ページから100ページぐらいまでは我慢です。キャラの口調や言葉選びだったり、地の文の軽さに戸惑いを感じるはずです。最初の疑問をクリアすれば意外や意外といけます。気が付くとそれほど違和感のないものになっているはずです。軽さも含めて、本作は良い意味でのライトノベルだと言えるのではないでしょうか。

作品データ

グリモワールの契約者
樹戸英斗
ゆーげん
アスキーメディアワークス 電撃文庫 2009/3 ~ 全2巻
イラスト 1巻20枚 2巻20枚


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表紙と外部リンク

グリモワールの契約者 終焉の騎士アルヴァレス
2009年3月発売
グリモワールの契約者 2 女王と魔女
2009年9月発売
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