タンデムLOVER

漫画感想記2冊目


多目的汎用重機「タンデマイン」は、農耕やスポーツ、戦闘など様々な分野に広く普及して活用されています。この乗り物は、その名の通りパイロット2人で協力して操縦します。1人だけでは動かすことは出来ません。だから、一緒にタンデマインを操縦するパートナーはとても大事な存在なのです。戦闘用タンデマインのパイロット養成学校はなんと女子学校。生徒達は、「タンデマイン」という乗り物を通して様々な意味での「パートナー」として絆を深めていきます。時にはケンカもありますが…。乗り物と女の子への愛が溢れた「ロボ×百合」な学園ラブコメディ、待望のコミックス化。コミックスでしか読めない描き下し作品も収録。【裏表紙より引用】

登場人物

コダ シマ


オムニバス形式の作品のため、話毎のペアで紹介します。

おっとりとした黒髪の少女、コダ。学校一トロいと言われるが、本人にその自覚はなく、人よりちょっと遅れている程度に考えるマイペースな性格。タンデマインの操縦もゆっくりで、同時に繊細でもある。性格が正反対で、せっかち過ぎるシマのことが気になる。

溌剌とした少女、シマ。中学時代には天才パイロットと呼ばれ、タンデマインの操縦の腕を競う全国大会で連続優勝するほどの腕前。反面、養成学校では赤点ギリギリの成績しか収められず、非常に高いレベルでの争いが日夜繰り広げられる。 給食の早食いでお腹を壊したり、タンデマインを強引に扱って破壊してしまったりと、とにかくせっかちな性格。自分とは正反対で、常に遅れがちなコダのことが何故か気になる。

クガワ サナ


おさげと眼鏡がトレードマークの才女、クガワ。タンデマインの電子構造を組み替える、電装系組換学の科目を得意とし、養成学校屈指の秀才と呼ばれる。遊ぶことより図書館で勉強することを好み、同じように勉強をするサナのことが気になるものの、声をかける勇気はない。

ストレートの黒髪と眼鏡が似合う才女、サナ。クガワと同じく学校屈指の秀才と呼ばれ、図書館では人通りの少ない窓際の席に座り、勉学に励む。最近特に力を入れている科目は電装系組換学。眼鏡は養成学校に入ってからかけるようになった。

カト アイラ


カナヅチの少女、カト。泳げないだけでなく、水に囲まれた状況に恐怖を感じてしまう、筋金入りのカナヅチ。優柔不断な性格で、アイラの優しさに甘えてばかりなことを申し訳なく思うが、いざという時には普段からは考えられない決然とした行動力を示す。

明るく優しい少女、アイラ。タンデマインの水泳訓練(水上移動)の最中に、水を苦手とするカトを気遣って引き返す提案をしたり、気を配るのが上手い。同訓練中にドライブユニットが故障してしまうトラブルに遭った際にも、カトに代わって水中に潜り修理を行う。泳ぎは得意だが、(酸素を濾過するための)水中マスクが壊れていたせいで溺れてしまう。

ロボット要素

タンデマイン


多目的汎用重機、タンデマイン。非常に分厚い装甲に守られたコックピットと、飛び蹴りができるほどの機動性を併せ持つ。五本指のマニュピレーターにより、状況に応じた武装選択ができ、両肩や背中にマウントラックもあるため、様々な状況に対応可能な汎用性の高い二人乗り重機である。前席がメインパイロットとなり機体を動かし、後席のサブパイロットは両肩に装備されたミサイルの火器管制や、センサー類が捉えた情報の確認などを行う。

水上に浮かぶタンデマイン


防水性能を有しており、腰部に装備されたフローターユニットを展開することで、水上での活動も可能。また、コックピットは高い機密性が保持されているので、水中での活動も想定されているもよう。

ゆきかぜ中学校所有のタンデマイン


ゆきかぜ中学校所有のタンデマイン。タンデムクロスという(クロスカントリーみたいな)競技を行うための機体で、武装類やマウントラックはない。また、機体性能も養成学校(軍用)で使われているものよりかなり低く抑えられている。

作画


絵柄はかなり癖があります。一見、リアル寄りの絵柄に見えますが、実際はかなり漫画テイスト。慣れは必要ですが、慣れさえすれば非常に読みやすいです。


タンデマインは非常にユニークな機械ですが、ユニークさは絵でも十分に表現されています。動きのある絵でも理解に苦しむ事がなく、読みやすさはメカにおいても十分です。


絵柄に慣れこそ必要ですが、人と機械が絡んだ画でも全く違和感がありません。駐機姿勢のタンデマインも非常に可愛い。

雑感

本作は百合作品というだけでなく、オムニバス形式の作りも特徴で、1話毎に主要人物は変わります。そのため主要人物の心情描写が中心となり、本作のロボット要素、タンデマインの説明には多くの時間は割かれません。しかし、タンデマインの扱いが悪いかというとそうでなく、タンデマインを通して恋愛が描かれ、実のところロボット成分もかなり濃い作りとなっています。

また、世界観の説明も殆どありませんが、台詞や描写の端々に世界観を想像するためのヒントがあるので、想像して楽しむことも可能です。一つひとつの話に奥ゆかしさを感じる作品であり、世界観を直接伝えないところにも奥ゆかしさを感じます。

癖の強い作品です。キャッチーな要素は殆どありませんし、派手さも全くありません。しかし、話だけでなく作品全体の纏まりが綺麗なので、読後感はかなり良いです。大きな期待を持って読むことは薦めませんが、手堅く1本(1冊)を選ぶのであれば良いチョイスだと思います。

作品データ

タンデムLOVER
カサハラテツロー
芳文社 まんがタイムKRコミックス 2011/2 全1巻








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表紙と外部リンク


タンデムLOVER
2011年2月発売

余談

どうでもいい余談なのですが、コミックスの装丁がとても綺麗です。タイトルロゴやフォントも作品に合っているし、表紙をめくると半透明の紙(なんて名称だろう?)が一枚挟まれ、秘密(乙女)の花園感があってちょっとドキドキしますw

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