漫画感想記38冊目
御影冬真(みかげとうま)はかつて、北玄(ほくげん)を裏から支える忍”御影衆(みかげしゅう)”の頭領であったが、八方守護巫女である四方堂美由樹(しほうどうみゆき)を守るため祖国を裏切った。そして彼は、ある人物に命を狙われ、その敵の真意を確かめるべく美由樹とともに旅に出た。やがてふたりはさらなる仲間と合流し、エドと呼ばれるその男のもとを目指すが――。【1巻裏表紙より引用】
登場人物
御影冬真
北玄最強の戦闘集団、御影衆の元頭領、御影冬真(ミカゲ トウマ)。19歳。16歳当時で北玄最強と噂され、北玄の神皇(しんのう)から四方堂美由樹の暗殺を命ぜられるが、美由樹を守るために祖国を裏切る。その後は数々の有力な刺客から狙われながら、美由樹の暗殺命令を下した理由を探る。冬真は勇気を魔力に変える銀の欠片という特性を持つ、勇者(ブレイバー)と呼ばれる存在。常人を遥かに超える力を誇り、勇者でも荷が重いとされる鋼機兵をも上回る戦闘力を持つ。剣術に優れるだけでなく、忍術、御影忍法も使いこなす。主な忍法は相手の影を地面に縛り付ける影絡み。影に潜る、影潜行。回りながらクナイを投げる、氷雨円月など。
四方堂美由樹
聖蓮(せいれん)の八方守護巫女(はっぽうしゅごみこ)、四方堂美由樹(シホウドウ ミユキ)。北玄国が聖蓮に進攻するのに合わせて命を狙われるが、刺客の冬真の裏切りによって生き長らえる。八方守護巫女の中で暗殺の命令が下されたのは何故か南方守護の美由樹のみであった。冬真と行動を共にするようになるまでは封神殿に閉じ込められてきたため、外の世界が物珍しく、強い好奇心を示す。役職に巫女と付くが、戦闘では以外にも肉体派。剣を装備し、裂帛の突きから放つ、鳳凰単展翅(ほうおうたんてんし)を得意技とする。必殺技は冬真と交差するように相手を切り上げる、陰陽鶴翼斬(おんみょうかくよくざん)。その威力は鋼機兵の装甲材質、レリクスハートすら切り裂く。また、強い霊格の持ち主のため、一喝で相手の身動きを封じることも可能。
ディアス
聖蓮出身の天才、ディアス。アーディオン・メーカーの異名を持ち、世界で五指に入るスーパーエース級のパイロット。聖蓮からは冬真と美由樹を捜して連れ戻すよう命令されるが、独自の思惑から二人と行動を共にする。鋼機兵乗りではあるが勇者の素質はなく、魔力負圧に対する抵抗は強くない。鋼機兵は本来ならば起動後も機導士のサポートが必要となるにも関わらず、天才ゆえに単独でラプソードスの活動を継続してみせる。敵である北玄のエド・ブルーカッパードもその才能を高く評価する。
御子神幸恵
聖蓮の勇者、御子神幸恵(ミコガミ ユキエ)。祀神(ししん)流刀法という流派の剣士で、その名は北玄にまで届く。幸恵は妖華(あやか)というもう一つの人格を宿した二重人格者で、勇者だけでなく機導士(シーリオン)の適性を併せ持つ。機導士は竜瞳(ドラグ・アイ)という特殊な瞳をしており、妖華の状態でのみ瞳に現す。幸恵と妖華では能力や容姿と同時に性格も変わる。幸恵は真面目で穏やか、妖華は粗野でものぐさな性格をする。
エド・ブルーカッパード
北玄の現人神、エド・ブルーカッパード。鋼機兵の技術を北玄にもたらし、他国との戦争を優位に進め、北玄の最高機密である大穢土(おおえど)研究所の重鎮となる。かつて世界に混乱をもたらした邪(じゃ)の者と呼ばれ、並み居る勇者を上回る存在を駒として扱う。以前は気さくな性格の人物であったが、過去の出来事から大きく変質し、復讐のために全てを捧げる。
ロボット要素
ラプソードス
ディアスの鋼機兵(アーディオン)、ラプソードス。鋼機兵の起動は機導士(シーリオン)の存在を必要とし、ラプソードスの機導士は御子神妖華が務める。天才と誉れ高いディアスの鋼機兵であり、死吟(しぎん)の奏者の二つ名は諸外国にまで轟く。両腕そのものが多節鞭(ガリアンソード的な)の様な武器となっており、しなやかな軌道から鋭い切れ味をみせる。その他には強烈な衝撃波を飛ばす、ソニックブラストという攻撃方法が存在する。操縦は操縦桿で行うが、出力を全力にする超絶化(オーバーロード)状態では鍵盤を弾くことで操縦される。
ヴァルサーク
ディアスの手によって新たに作られた鋼機兵、ヴァルサーク。多くの鋼機兵はエドがもたらした技術を元に作られるが、ヴァルサークは伝説の存在である光輝兵(こうきへい)の研究を元にして作られた。操縦系統は既存の鋼機兵と大きく異なり、操縦桿や座席はなく、中に乗った人間が人機一体となり動かす。強い力を持つ鋼機兵であるが、構造上の問題を抱え、起動には至っていない。
あノ参五X型
北玄の鋼機兵、あノ参五X型。防御重視の鋼機兵が多い北玄ので中は珍しい、軽装甲の高機動タイプ。量産型であるためか、鋼機兵の性能を決めるレリクス・ハートは質の悪いものが搭載されている模様。鋼機兵の起動及び継続した稼働には機導士の存在が必要となるため、戦場では戦闘力の低い機導士は標的になりやすく、明確な弱点が存在しても尚運用されるだけの戦闘力を秘めた存在である。
作画
キャラの作画はシンプルで派手さは感じませんがとても把握しやすいです。動きの多い漫画ながら把握しにくいと感じる部分は殆どありません。
メカの作画もキャラの作画と共通して派手さはそれほど感じないものの、とにかく安定感があります。戦闘場面でもしっかりと描かれ、よく動きます。
本作はデザインの凝ったメカも多く登場します。当然それらのメカも丁寧に格好よく描かれています。
雑感
本作はTCG(トレーディングカードゲーム)を元にしており、TCGやTRPGでの展開が中心だったようです。本作はそれら別の媒体で展開された話の一部を漫画化した作品になるようです。そのためか、単語だけが走っているように感じますし、出来事のつなぎが甘く、唐突に感じる展開も多いです。全3巻ながら完結してはいるものの、あからさまに尺は足りておらず、バトルシーンも盛り上がりきらず、拾えていないと思われる伏線も多いです。
今回紹介文の方で特殊な単語を並べましたが、細かく説明されている単語は少なく、なんとなくでしか把握できません。単語単語で拾えば大きさや広がりを感じますが、広さや大きさは漫画の中では感じにくいものになっています。また、紹介文には含みませんでしたが、前世や転生も物語に大きく関わる要素になりますが、これらの設定は物語に大きく関わってくるのに、前世からどうして転生したのかなどの説明はありません。丸投げであるためどのように受け止めたら良いのかわからず、解釈が難しいものになっています。現世での物語の冒険も途中からという感じで説明が少ないですし、大前提の部分が描かれていない(説明されていない)印象です。
問題点を並べると、つまり本作は予備知識を持って読むタイプの作品だということです。TCGやTRPGの方では設定の説明がされているのだと思われます。問題点はあるものの、楽しめない作品ではありません。物語そのものは面白く、作画も安定しています。設定もなんとなくなら把握できるので、ぼんやりとした感じで楽しめます。全体的にポテンシャルを感じるだけに、楽しみきれないというのが残念でした。
作品データ
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