無敵超人ザンボット3 【漫画版】

漫画感想記33冊目

駿河湾にある漁港…一見平和に見えるこの小さな漁港にある恐ろしい異変が近づきつつあった――ある日悪友と喧嘩をする神勝平は大きな地震に遭遇する。地震は神一族に伝わる古文書に記された敵、ガイゾックの現れを告げるものであったのだ。勝平は同じく神一族の神北恵子、神江宇宙太と共にザンボット3で殺戮集団ガイゾックに立ち向かう! 【序盤文章は冒頭より引用しつつ残りはでっち上げ】

登場人物

神勝平

神一族の少年、神勝平。祖父は駿河湾の網元。バイクやクルーザーの操縦に長け、睡眠学習によって戦闘機、ザンボエースの操縦も教え込まれ、銃の扱いにも優れる。神一族はビアル星の人間であったがガイゾックにビアル星を滅ぼされ、江戸時代に地球に移り住んでからはガイゾックと戦う使命を持ち、襲来に備える。ガイゾックが地球に迫ると勝平の祖父、祖母、兄の一太郎、母親の一家総出で戦いを始める。

神北恵子

神一族に連なる少女、神北恵子。信濃と武蔵に移り住んだビアル星人の末裔で、ザンボット3を形成する一機、ザンベースの操縦者。友人のことで辛い思いをする勝平を気遣う優しさを持つ。恵子に神一族の戦士たるよう求める父と、本当は父親も心配しているのだと伝える優しい母がいる。

神江宇宙太

神一族に連なる少年、神江宇宙太。信濃と武蔵に移り住んだビアル星人の末裔で、ザンボット3を形成する一機、ザンブルの操縦者。和行という弟がおり、勇み足から和行がガイゾックに捕まり、解放の条件としてザンボット3を要求されると見捨てるよう告げるが、内心は忸怩たる想いに溢れていた。宇宙太の身を案じ戦うことに反対する母と、母親を宥め宇宙太の意思を尊重する父がいる。

香月

勝平の喧嘩仲間、香月。ガイゾックによる攻撃で両親を亡くす。ガイゾックのメカブーストに襲われていたところを勝平に助けられるが、神一家のせいで襲われたと思い込み、神一族とガイゾックの双方の目的を知ってなお反発する。勝平に向けて銃弾を放ったり、神家の基地を破壊したりと暴れまわるが、アキやミチといった学友には優しく、銃片手にガイゾック兵に抵抗を試みる。

ブッチャー

殺戮集団ガイゾックの前線基地、バンドックの統領、ブッチャー。ザンボット3の存在する日本を標的とし次々とメカブーストを送り込んで日本各地を占領する。

ロボット要素

ザンボット3

ビアル星の超科学の遺産、ザンボット3。勝平が乗るザンボエース、宇宙太のザンブルと恵子のザンベースが合体した姿。地球上で唯一ガイゾックと戦える神一家の戦闘用メカ。釵状の刺突武器、ザンボットブロー。手裏剣状の投擲武器、ザンボットバスター。刀剣武器の、ザンボットカッター。指先には射撃武器、ザンボットバスターなどなど豊富な武装を持つ。必殺技は頭部の三日月から放たれる、ザンボムーンアタック。

ザンボエース

勝平が乗る、ザンボエース。戦闘機形態のザンバードから人型形態のザンボエースへと変形が可能。武器は腰のホルスターに収められた、ザンボマグナム。高い戦闘力を誇るメカブーストの前には火力不足な感は否めない。

メカブースト

ガイゾック主力機、メカブースト。日本各地に現れ破壊の限りを尽くす。メカブーストの姿形は機体ごとに大きく異なり、攻撃方法も様々。装甲の厚い亀型や、大砲を頭部に装備した牛型など多様である。画像のメカブーストは装甲を開き嵐を発生させ、口から尖った武器を放つタイプ。

バンドック

ブッチャーの本拠、バンドック。駿河湾沖の海底に潜み、内部にはメカブーストの製造基地を持ち、地球侵略の橋頭堡となる。頭部のみ独立して動き、高い機動力を有する。

作画

本作が連載されたのは1977年ということで現在の目で見るとかなり異質なものになっています。また、昔の作品の単行本化される際によくあることですが、元原稿からではなく雑誌に掲載されたものから単行本用の印刷データを作ったと思われ、線がかなり荒くなっています。

ザンボット3の作画は中途半端です。大きなカットだと上半身や顔は描いて、下半身はシルエットといったカットもあります。

メカの作画自体は読み取りやすいため、とにかく読みやすいです。昔の作品にほぼ共通することとして読みやすさがあるのですが、線の粗さはありつつも読みやすさは担保されています。

雑感

40年以上前の作品ということもあって様々な面で昨今の作品とは大きく異なります。ザンボット3という作品は見た目に反して中身は重いというか悲惨な作品な訳ですが、本作も悲惨に代表されるエピソードは含みつつもあまり重々しく描いていません。軽く書かれているというとわけではなく、重々しく引っ張らないだけで自然に狂気を内包しています。

絵の部分については作画の部分で説明したようなものとなり荒さを確実に感じます。予め知識として持ちあわせて目をつむる必要がありますが、本作は一味違うザンボット3に触れてみたいという人の需要は満たしています。読み味は軽めになりつつも本作は間違いなくザンボット3ですし、アニメとは違う設定や物語を楽しめます。初めて触れる場合は様々な面でハードルが高いのと、アニメとは異なる部分もあるので、予め知識を得てから読むと楽しめると思います。

作品データ

無敵超人ザンボット3
岩田廉太郎
マンガショップ サンライズ・ロボット漫画コレクション 2011/4 全1巻
同名アニメのコミカライズ作品
初単行本化は2011年だが冒険王1977年11月号~1978年4月号にて連載された作品







100

表紙と外部リンク

無敵超人ザンボット3
2011年4月発売

余談(ネタバレ注意)

思いっきりネタバレを書きますので気をつけてください。

雑感の方で前ふりしていることですが、エンディングがアニメと異なります。宇宙太と恵子が生き残り、その後の彼らの動向が描かれています。その他にもアニメで死なない人物が死んだり、死んだ人物が死んでいません。

ここからは別に書かなくてもよいことになりますが一応本文の補足です。平左衛門の設定がアニメ版と多分違います。勝平の紹介文で平左衛門を祖父と書いたのだけど、本当は恵子の祖父なんですよね。ただ、この漫画版については勝平の祖父としか思えないので、祖父として書きました。恵子との関係について全く言及されないし、勝平や一太郎からはじいちゃんと呼ばれ、香月からじいちゃんを馬鹿にされて怒る勝平という話もあるので、漫画版的には祖父扱いで合っているのではと推測しています。ちなみに勝平の父親は出てきません。

という余談でした。

0件のコメント
コメントを書く