アクト・オン!

漫画感想記22冊目

神楽坂学園に入学した樹香苗(イツキカナ)は、ロボットの操縦をしたこともないのに機工部の目方直起(メカタナオキ)の作った二足歩行ロボット“アクティオン”でクラフト部のロボットと勝負することになり、なぜか機工部に籍を置いている“ミスター体育会系”こと駆動亜久斗(クドウアクト)に特訓を受ける――。ROBO-ONEに魅せられた高校生の青春を描く、熱血文化系クラブマンガ!!【1巻裏表紙より引用】

登場人物

駆動亜久斗


神楽坂学園高等学校機械工学部の居候部員、駆動亜久斗(クドウ アクト)。細かいチマチマとした作業は苦手だが、ロボットの操縦は得意。ミスター体育会系と呼ばれるほどに運動神経が良く、多くの部活から助っ人を頼まれるほど。超人的な動体視力と反射神経の良さはロボットの操縦にも活かされている。新入生の香苗と同じ一年生だが、実態は何度目かのダブりで、悪人(アクト)の異名を持つなど悪名は学内だけに留まらない。

樹香苗


神楽坂学園の新入生、樹香苗(イツキ カナ)。完全二足歩行ロボットを作るのが夢であった兄に憧れ、兄と同じ学校に入学し、兄と同じ機工部に入部する。下調べもせずに入学したため、廃れてしまった学園と機工部に驚きはするものの、持ち前のポジティブな性格ですぐに馴染んで自らの居場所を作る。非常に打たれ強い性格をしており、意外と気が強いため無茶をしがち。ドジっ娘属性を併せ持つが本人にその自覚はない。

目方直起


アクティオンの生みの親、目方直起(メカタ ナオキ)。クズ共のごみ溜めとまで言われる機工部において唯一のまともな部員で、ロボットの製作からメンテナンスまで一人こなしていた。対人恐怖症のネクラチビなどと揶揄される臆病な性格だが、部内の仲間達とは問題なく、亜久斗との関係も良好である。

此花咲耶


私立白銀台学院高等部クラブ・ロボテック副部長、此花咲耶(シガ サクヤ)。名門と言われる白銀台クラブの副部長を務めるだけに、操縦者としての技量に優れ、分析力も高い。性格もクソ爽やかと称されるほどの好青年。

ロボット要素

アクティオン


直起が一人で作り上げた一品物のロボット、アクティオン。機体の性能は既成のロボット・キットであるROBONOVA-1より低く、KHR-1よりも低いと思われる。性能が低い代わりに回転軸が多く設置されており、反射神経を活かした小さな動きを得意とする亜久斗の操縦との相性が良い。得意技は地面に手を付きその反動で繰り出す回転浴びせ蹴り。

シュツルム・カイゼル


神楽坂学園クラフト部のロボット、シュツルム・カイゼル。近藤科学が開発したロボット・キット、KHR-1を素体とし、外装及び追加パーツをクラフト部が制作した。元のキットはバランスの良さとカスタム性に定評があるものだが、クラフト部の外野(ホカノ)が作り上げた外装は重く、腕部装甲内に隠す形で装備されたモーニングスターのせいでバランスも悪い。極端なカスタムの結果、稼働時間も短くなってしまい元のキットの良さをなくしてしまった。必殺技はモーニングスターを両腕から出し、片腕の鎖で相手を捉え、もう片腕のモーニングスターで殴りつける、ツイン・モーニング・スター。

ROBONOVA-1(ロボノバ ワン)


白銀台クラブ・ロボテック所有ロボット、ROBONOVA-1(ロボノバ ワン)。ハイテック・マルチプレックス製のロボット・キットで、抜群のバランスを誇る名機であるため普及率も高い。白銀台クラブ・ロボテックではオリジナルのプログラムを採用しており、既成の行動プログラムより高速なのが特徴。バランスの良いロボットであるが水平方向の回転軸が省略されたため真正面が意外にも四角となっている。

作画


人物の作画には若干クセがあります。昭和テイストを残したわかりやすい表情が多いので、現代漫画に慣れていると馴染みが薄くちょっとした戸惑いはあるかもしれません。しかし、本作のヒロインである香苗など愛嬌のあるキャラも出てきますし、華がないというわけではありません。


個人的に最もクセがあると感じるのが画像の人物、機工部部長の塔丿森司の瞳です。ハイライトが無く単色で描かれているので結構不気味に感じます。特に説明もないのでたんにキャラデザということでしょうけど、特殊な状況以外ではなかなか見かけない表現なので最後まで慣れませんでした(周りが普通なだけに)。


ロボットの作画はすごい安定感です。現実的なロボットをテーマとしているだけあってアクションの動きやロボットは固めに描かれていますが、退屈させない画作りがなされているだけでなく、動きまでしっかり描かれているのが好印象です。派手さはないものの作品のテーマを含めて考えれば好ましい要素です。

雑感

全2巻で未完作品です。伏線も少なめで、直線で話が展開されるので未完であることがそれほど気にならないタイプの作品ではあります。

現実世界のロボット製作をモチーフとした作品で、その部分に関する説明はしっかりと作中でされるので読みやすく理解しやすい作りですが、同時に説明口調な点は若干気になるかもしれません。

説明が丁寧で、物語、登場人物、世界観、全てがストレスフリーな作りなので気兼ねなく読めるのは本作の強みです。同時に個性を問われると答えづらい作品です。引っ掛かる部分が殆ど無くすんなりと読めすぎてしまうと思うので、ストレスフリーな作りが本作の弱みとも言えるのかもしれません。

作品データ

アクト・オン!
神矢みのる
ソフトバンククリエイティブ フレックスコミックス 2007/2 ~ 全2巻


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表紙と外部リンク

アクト・オン! 1
2007年2月発売
アクト・オン! 2
2007年9月発売
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